現代病床雨月物語 第5話 「笠やんと太郎坊」 秋山 雪舟(作)
秋山 雪舟
第5話 「笠やんと太郎坊」
私は幼い4・5歳の男児の姿でいました。その場所は、ちいさい時に見覚えのある川の岸であり、私はあることをしていました。
季節は夏の暑い日の午後で、男児の私は「今日こそは石を10回水面でジャンプさせて見せるぞと一人つぶやいています。」額に汗を流しながらも平たい石を河原で選び繰り返し川面に石を投げていました。7回ほどはいくのですがそれ以上がなかなかいくことが出来ませんでした。
そのうち空が急に暗くなり雨雲がたちこめてきました。そして稲光が上空で閃光していました。次には冷たい風が体に吹き付けてきました。そのすこし後に大雨が降ってきました。そのとき私は、川上の方を見ました。「アッー!」と一声発したと同時に、増水した川の水が私を呑みこみました。私は水に流され意識を失いました。
どれぐらい時がたったかわかりませんが、私の左ほほをざらついた舌で舐める一匹の猫がおり私は意識を取り戻しました。そしてよく見るとその猫の横に大きな物体がいるのでした。それは間違いなく2メートルをゆうに超える『天狗』でした。私はビックリして横たわった体を起こしました。そして私は、「ここは何処ですか?」とつぶやきました。
そうするとその大きな物体の『天狗』が応えました。「ぼうず、ここはな木津川の流れ橋のすぐ上流じゃ。お前は運がよかったの。たまたまお前を見ていた『笠置寺の守り猫の笠やん』が流されたお前を追いかけ岸に打ち上げられたお前を見つけ出してお前のほほを舐めて気を取り戻させたのじゃ。そうしなければお前の魂は三途の川を渡っていただろう」と事の成り行きを説明してくれました。
私は、「あなたは『天狗』ですか」と聞きました。『天狗』は、「おう、申し遅れたのわしは東近江の太郎坊じゃ、空を飛行して山や川をパトロールしていたら『笠やん』がお前を助けるのを上空で見ていて降りて来たのじゃ」「『天狗』さんはなぜ山や川をパトロールしているんですか」。
「ぼうずは人間のことしか考えていないからわからないかも知れないが『天狗』とは山や川に住む・生きる生命のすべてを見守るために自然によって生まれたのじゃ、だからわしは日々上空を飛行して山や川をパトロールしているんじゃよ」そう言った後、『天狗の太郎坊』は、『笠置寺の守り猫・笠やん』を左わきに抱え夕日を背にして東の空へ飛んで行きました。
現代病床雨月物語 第5話 「笠やんと太郎坊」 秋山 雪舟(作) 秋山 雪舟 @kaku2018
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