第12話 新しい日常
「今日学校休んでいいですかね? 無理だよなぁ……ていうか寝ようと思ったけど結局一睡も出来なかったし、どうしても昨日の事がフィードバックして、どういう顔して行けってんだああああ!!!」
リンは頭を掻きむしりながら一人悶えていた。
ロドニの素を見てからというものリンの頭の中はロドニのことで一杯だった。
向こうはどう思っているのだろうか、学校に行ったら噂になって無いだろうか、変な迷惑をかけてしまうんじゃなかろうか、そんなことばかりが頭を過った。
「そろそろ時間だし、行くか」
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視点変更
「うーんどうだろう……似合ってるかな?」
ロドニは鏡の前で自分の服装を気にしていた。
「こういう服を着るのって何年振り何だろう? 久し振り過ぎてちょっと違和感あるかも……この姿見たらみんな何て言うんだろう……ちょっと怖いかなぁ……リンは何て言ってくれるんだろう」
ロドニは、いつもの男子の制服ではなく、女子の制服を着ていた。
「あ、いけない! もうでなきゃ!」
そう言ってロドニは学校へ行った。
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リン視点
(ああ、ついに来てしまった)
といっても、いつも来なれた魔法学校である。
「あ、おはよう! リン!」
「よう! こんなに早く来るなんて珍しいな」
レーナとルクスは朝から元気である。
レーナに関してはこの前こっ酷くやられてるため、もう少し不貞腐れると思っていたが、杞憂だったようだ。
「おはよう二人とも、そういえば、殿下は?」
「ん? まだ来てないぞ? 何時もなら俺達より早いのに珍しいな」
(まさかロドニも昨日の事を気にしているのだろうか? やっぱりまだ恥ずかしさを抑えきれないか……)
そんな事を思っていると、後ろから扉が開く音が聞こえた。そして、
「みんな! おはよう!」
「「「……誰?」」」
リン以外の全員が一致して同じ事を言った。
それはそのはず、ついこの前までは爽やかで真面目雰囲気を感じさせている男の子として装っていたのだから。
だが、今のロドニはそれらしき雰囲気もなく、更に女子の制服を着ていた。顔も澄まし顔出はなく、可愛い系アイドルのようなにこやかな顔になっている。そう、どこからどう見ても〝女の子〟にしか見えない。そんなロドニを見てクラスのみんなは固まって動かない。
(実際は女の子なのに、こういう反応されると傷つきそうだなぁ……)
そんな事を思っていると、
「おはよう、リン」
「うん、おはよう、ロドニ」
二人は挨拶を交わすと、自分の席に着いた。
それから一拍空いて、
「「「どういう事だ(よ)リン!」」」
クラスの連中(主に男子+女子一人)がリンのところに駆け寄ってきた。
「どうって?」
リンは呆けた顔で返した。
「あれ、いや、あのお方が本当に殿下なのか!?」
「そうだよ?て か口調が崩壊しかけてるぞ?」
(というか、近い! 暑苦しいわ!)
「それでリンよ! 今は殿下とはどういう関係なんだ!?」
「私の婚約者よ? まだ確定ではないけど、私たちはそのつもりよ?」
男子の壁の向こうからロドニがいった。
そして一拍置いて、
「「「なにいいいぃいいい!!」」」
と、言いながら更に詰め寄ってきた。
「お前! いつからそんな関係に!」
「羨ましすぎる!」
「帰り道背中に気をつけな!」
(最後物騒だな、おい! というか、テンプレ過ぎだろ……)
「あはは、照れるなぁ」
(照れてないで助けてくれませんかね!?)
「それにしても殿下は随分変わりましたね? どっちが本当の殿下なの?」
と、レーナが不思議そうにロドニに聞いた。
「んー今の私はどちらかというとプライベートみたいな感じかな? 自分が女の子ってことは家族と専属のメイドくらいしか知らなかったしね。まあ、リンにはあの時にキャッチされて、どさくさに紛れて胸を触られてバレちゃったんだけど……」
(ちょ、最後の余計だと思うんですけど!?)
そんな事を思っていると、レーナがこっちを軽蔑するかのような目でこちらを見て、
「変態。女の敵。近寄ったらこんがりロース……」
「いや、あれは偶然の産物というか……てか、こんがりロース?」
「言い訳無用! “
「“身代わり”!」
「防ぐな! この変態色欲魔人が!」
「いや、防ぐわ! 殺すきか! てか、誰が変態色欲魔人だ!コラァ!」
「お楽しみのところ悪いけど、そろそろホームルーム始めいいかしら?」
「「どごが! って、あ……」」
言い争ってて気づかなかったが、そこには今にも堪忍袋の尾が切れる寸前のキリカ先生がいた。
(なんでこの人は相変わらず影が薄いんだ……。てか、今はそんなこと考えてる場合じゃない!)
「貴様ら、なに教室で魔法ぶっぱなしてんじゃ! コラァ!」
「「ひっ、ごめんなさい!」」
「廊下に立ってろ!」
「「は、はい!」」
急いで二人は廊下へ出た。
(やることが昭和過ぎてあれだ。てか、本気で怒ったキリカ先生初めて見た。今度からは気を付けるか)
そのあと授業には直ぐ復帰したものの、放課後に職員室に呼ばれ、こっ酷く叱られた後に始末書を書く羽目になりました。
(はぁ、萎えた)
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