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地区予選の時

対戦相手の高校の選手名簿にアイツの名前があった。



「アイツ…やっぱりサッカー続けていたんだ…。」



ちょっと嬉しくなった。

それと同時に、絶対に負けられないと思った。

試合当日

一度も顔を合わせないままゲームがスタートした。


アイツは俺を覚えているのだろうか…?



そんな事を考えながら

ゴールの前に立った。



「あっちのチーム…上手い…。」



あのアイツの姿がまったく目立たないくらいのメンバーのレベルに驚いた。


俺のチームもみんなそれぞれ上手い奴らばかりだけど…


何かが違う。



なんだ…?


なにが俺達には足りない?


違う…【俺達】じゃない…


「俺に」足りないんだ。



アイツがボールを奪ってこっちに向かってくる。



緊張がピークに…

何か周りで叫んでるけれど、聴こえないくらい。


ヤバい…吐きそう…


気付くとゴールにボールが転がっていた。



「大事な…試合…

俺、なにやってんだ…。」



一気に血の気が引いた

呆然と立ちすくんだ



チームのみんなが俺に叫んだ。



「ドンマイ!!

俺たちもおさえる!!

けど、もしもの時はよろしく!!」



そうか…

そうだった…


俺に足りなかったもの…



真っ直ぐ前を向いて

みんなを見つめた。



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