新編 妖乃園 Episode6

不死鳥ふっちょ

新編 妖乃園 用語解説集

<世界観>

 正暦せいれき一八七七年。明璽めいじ十年、東享とうきょう市。

 それはまだ呪術が存在し、人々の暮らしの中に息衝いている並行世界。

 時代区分は雅蘇卦あすか梛蓏なら平晏へいあん剳倉かまくら窩闍むろまち瑿鬥えど明璽めいじ鼐正たいしょう昭倭しょうわと呼ばれている。


<呪術>

 墨曜道ぼくようどう

 陰と陽の二元論、また木火土金水の五行ごぎょうと呼ばれる世界観に支えられている呪術。

 五世紀頃、大陸より伝来した呪術大系。ずい王朝より伝えられたこの呪術はその後、日本において重要な位置を占めることとなる。律令制の下、墨曜寮ぼくようりょうと呼ばれる組織において管理、研究が重ねられ、吉凶の判断や天文学へと発展し、国家の中核を担う技術の一つとなった。

 時代とともに変化を続けた墨曜道であったが、鑟川とくがわ将軍家においては土御門つちみかど家と幸徳井こうとくいの二つの家系を重用し、互いに競わせるようにして墨曜道の発展に貢献した。

 現代世界における陰陽道をモデルとした呪術。


 曼華経まんげきょう

  空海を開祖とする東華とうげ天帝宗てんだいしゅうでの帝華ていげの二つの流れからなる呪術流派。

 世界観は曼荼羅まんだらと呼ばれる古代世界に起源をもつ神仏が集会しゅうえした図式に表されている。また高位の者は真言しんごんと言う特殊な呪術言語を用い、神仏を勧請することができる。

 九世紀頃、とう王朝から帰国した最澄が本格的に修学した天帝教学を日本に伝える。同時期に空海は青龍寺において修学し帰国。この二人を皮切りにして日本に曼華経が知られるようになる。

 明璽維新以降、政府は神仏分離を推進し、宮中行事における仏教傾向にあるものを排除していこうとする流れが生まれた。また廃仏毀釈はいぶつきしゃく運動によって曼華経の寺院は大きな打撃を受けることになる。

 現代世界における密教をモデルとした呪術。


 神祇調じんぎちょう

 日本古来の宗教概念。自然霊信仰アニミズム系列の流れを組み、自然事物や自然現象、祖霊などを信仰対象とする多神教である。

 古代日本の成立に起源をもつ宗教であり、森羅万象を神として感謝し受け入れる「惟神の道かんながらのみち」という言葉に表現される。日本国民にとって各種行事や儀式の中に教えや作法は伝えられていて、日本における生活それ自体が簡易的ではあるが神祇調に則った流儀と言っても過言ではない。

 神祇調は古代世界においては仏教信仰と混然一体となっている一方、神仏分離から神事のみを執り行う神社も存在してきた。これを改善するため、明璽政府は全ての神社において神仏分離を推し進めようとしてきた。

 現代日本における神道をモデルとした呪術。


<能力>

 童子斬どうじぎり

 平晏へいあん時代より、貴族を妖魔から守護するために対妖魔戦闘術を修めてきた武官に端を発する特殊戦技を駆る者たちの総称。

 時代を経るごとに武家国家となった後も存在を続け、国家や天皇を闇から守るための特務武官として天皇直属の武士として童子斬という名を与えられた。気の流れを読み、力ではなく気で斬るとされる。日本刀と酷似した武具<太刀>を用いることで戦闘能力は最大となるが、現在<太刀>は鍛造不可能とされている。


<道具>

 太刀たち

 童子斬のための武具とされているもの。能力のない者が触れると魂を喰われて命を落とすが、童子斬はこの刀と魂を触れ合わせて言葉を交わすことができると言われている。過去に遡っても太刀を鍛造していたという記録はなく、一説には童子斬という戦闘技法自体が異世界から伝えられたのではないかとも言われている。

 太刀は漆黒の漆塗りの鞘に金箔で紋様が捺されている。

 

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