アーキエイジ外伝
@ramia3659
第1話
アーキエイジ
「祭」
昔々
神とは何かを探求する12人の最初の遠征隊がいた。
彼らがとった行動が
後に数多の種族を二つの勢力に二分することとなるが
今の彼らが知る術は無く…
そして
その物語はまた別のところで語られるであろう。
緑が一杯に広がる、ハヌイの床。
人口が栄える住民地区では多くの人で賑わってていた。
この日はイベントの日ということもあり
普段は訪問してこない商人たちも
稼ぎ時と言わんばかりに、多くの荷物を取り揃えて露店を開いていた。
「今日は《あの日》だけど
貴女は誰に渡すか決めているの?」
「ワタシは…マリア・ノープルに遠出してるブライに渡すの…
彼、甘いものが大好きだから丁度良いかなって」
「ご馳走様…。
そういえば
ジーザスさんの家の近所の…なんて言ったかしら
あ、ハリハラン族のフォックスくんの家でイベントが
開かれるらしいわね?」
「そうみたいですね。
少し前に、《ふっかつのじゅもん》遠征隊隊員の
ウィムさん、レッドスティンガーさん、咲火さんたちが
大陸中飛び回って、チラシを配っていましたから。」
言いながら
女性はポケットの中から折り畳まれた紙を出し
開いて紙の内容をもう一人の女性に見せる。
「今日の午後7時半からか…
ギリギリ行けるわね、楽しみだわ」
この日、開かれるであろうイベントに胸を躍らせながら
男性達は勿論、女性達もイベントのメインである《ある物》を作りながら
イベントを楽しみにしながら、買い物が行われていた……。
???「地図だと…この橋を10キロ歩いたところが目的地ね」
褐色色の肌と、頭から少し飛び出ている角が印象的な彼女
ウォーボーンのリューキュウはこの日
イベントの会場であるフォックスの家に訪れる為、彼女は故郷である東大陸から遠路遥々と船に乗って西大陸にやってきていた。
だが、当然の如く彼女は西大陸の住民から見れば敵の種族という認識になる。
普通に歩いていれば、西の種族に襲われて殺されてもおかしくないのだが
彼女と、いずれ合流するメンバーたちも
大手ギルドが、その者を監視と保護することを証明するバッジを胸に付けていた。
なので、彼女に危害が加えられた場合は当然
危害を加えた者達は大手ギルドから制裁を受ける事となる。
???「リューキュウさぁーん!」
リューキュウ「ん…?あ!トーヤちゃん!」
背後から聞きなれた声で呼ばれたリューキュウ
彼女はすかさず後ろを振り返ると
そこに映ったのは、長いドレスで動き難いはずなのに
こっちに向かって必死に走って来る
トーヤ、と呼ばれる女性だった。
トーヤ「今日のイベントに来たんですね!?」
リューキュウ「そうだよ。
ちゃんとこの日の為に
これも作って持ってきたから、後で向こうで皆と一緒に食べようね。」
トーヤ「はい!リューキュウさんが作ったの楽しみです!!」
リューキュウ「あ、トーヤちゃんも結構な量作ってるね。
手に持ってる袋…とても大きい(笑)」
それをみると、確かにトーヤが持っている袋は大きく
袋の中身も結構な量があり、今にも零れ落ちそうな状態だった。
トーヤ「あ…実は数日前から仕込みをしてたんですけど
納得できる物が中々完成しなくて
それで、失敗したものと新しい材料を混ぜ混ぜしながら作ってたら
とんでもない量になってしまって……」
リューキュウ「なるほど・・・・・・妥協を許さないあたりが
気持ちがこもってるって感じがして、イイネ!!!
(早くトーヤちゃんのチョコ食べたいなぁ)」
話をしている間、時折リューキュウの視線はトーヤの持っている
チョコレートに注がれた。
それに気づいたトーヤは
トーヤ「もしかしてリューキュウさん
チョコがどんなのか気になってますか?
なんでしたら、今渡してもーーーー・・・・・・」
リューキュウ「べ、べ、べ、別に気になってないヨォォォーーー!?
リューキュウさんは
どんな素敵なバレンタインチョコ貰えるのかなぁ?なんて
ワクワクドキドキなんてちっともしてないよぉぉぉーー!!」
リューキュウが気になっているであろう事を察して
トーヤは袋から何かを取り出そうとした矢先
リューキュウは思い切り否定して、袋から出すのを止めた。
と言うのも、ここで今貰っては後々の楽しみが無くなる
それはメインイベントがこの場所で終わってしまうということを
本人が理解していたからだった。
トーヤ「あれ・・・・・・?チョコいらなかったですか?」
リューキュウ「あとで向こうについてから貰うね!
今、ここでもらったらーーー…・・・」
???「えー皆様~この後19時からジーザス教会にて
ジーザス・シルヴァの加護が宿っています、アイテムを販売します!」
トーヤとリューキュウ、二人が時間を忘れて話し込んでいると
少し離れた場所から聴きなれた声が響き渡り
声が発した方角に視線をやると
そこにはヴォルフガンと呼ばれる車に乗って、手に持っている紙を必死にばら撒いているドワーフ娘三人と
車を運転するヌイアンのドライバーが一人の計4人搭乗していた。
少しすると車が目の前までやってきて
トーヤ「あーリルムさん、ハリさん、アルタイルさん
オクロックさんもこんばんわ!
それって、シルヴァさんのお店の営業回りですか?」
リルム「トーヤちゃん、キューちゃんこんばんわ!
そうなのー!定時時間だから帰ろうとしたら
残業代出すからビラ配って来いって言われたの!
だからねぇ・・・・・・モグモグモグ」
言いながら、リルムと呼ばれたドワーフの少女は
自身の着ているメイド服のポケットに手を突っ込み
何かを取り出して口の中に放り込んで、口をもごもごとさせる。
オクロック「良く食べるよなリルム・・・・・・
程々にしとかないと、この後のイベントで食べられなくなるぞ?」
と、言いながらオクロックはポケットの中に入れていた
ハンカチを出して、リルムの口がチョコで汚れていたので
それを優しい手つきで拭いてあげた。
アルタイル「そうですよーリルム姉さん!
今日は色んなご馳走が出るらしいので
今、チョコレートでお腹を満たすのは勿体無いですって!」
ハリ「アルタイルがそれ言う!?
さっき、リルムたちの職場にあったお菓子とか
ちょろまかして食べてたよね!?ねっ!?」
そう、さかのぼる事1時間前の出来事だった。
シルヴァの職場に迎えきたハリとアルタイルは
リルムたちが終わるまで、職場の中の椅子に座って待機していたのだが
この時、アルタイルは朝から何も食べていなかったので
空腹状態だった。
何か食べ物がないかと、辺りを隅々まで探していると
机の引き出しの中から板チョコやクッキーなどが見つかり
アルタイルは押し寄せる欲に負けて
それらを待っている間に食べつくしたのだった。
勿論、この時ハリは一口も食べさせてもらうことはできなかった。
アルタイル「ばっ!!!それは秘密って言ったでしょハリー!!」
リルム「あーーーっ!!!まさかそれリルムが食べようと思って
家から持ってきたやつでしょ!
道理で職場から出るとき無かった筈だ・・・・・・うぅぅっ」
オクロック「アルタイル、後でオマエはしばく。
らも共々しばく」
落ち込んで悲しそうにしているリルムを見やり
オクロックは一瞬アルタイルを睨み、怒り混じりにそう言った。
リューキュウ「良かったらこれ食べてください、リルムさん
さっき、近くの露店で売っていたところ発見したんですけど
なんだか珍しいチョコらしいので」
リルム「ふぇっっ!?珍しい・・・・・・チョコ?
良いの貰って・・・・・・?リューキュウさんが食べようと思って
買ったんじゃ?」
リューキュウ「大丈夫ですよ。
こんな事もあろうかと、皆で食べれるように大量に購入して
持ちきれない分はフォックスさんの家に送ってもらってるので」
トーヤ「流石です、リューキュウさん!!
やっぱり頼れるお姉さんですね!」
リルム「リューキュウさんありがとーっ!
もぎゅもぎゅ・・・・・・あ・・・おいひぃ・・・・・しあわへぇ(笑)」
リューキュウ「喜んでもらえたようで良かったです」
アルタイル「良かったですねぇ、姉さん。
悲しい出来事があった後に、こうして嬉しい事があって
いやー実にーーー・・・・・・ぐふっ!?!?」
最後まで言い終わる前に、アルタイルは体中に走った重い衝撃によって
意識が途切れ、地面へ倒れた。
オクロック「悲しい出来事の原因はオマエにあるのは忘れるなよ
アルタイル。
そして、リルムもオレも許すと言っていない・・・。
なので、粛清した」
言うオクロックの右手に握られていたのは紅く光り輝くエアナソードだった。
ハリはそれを見て、オクロックが何をしたのか察して
ただ一言
ハリ「あ・・・・・・南無南無」
と言って、気絶しているアルタイルを荷台に押し込んあげたのだった。
オクロック「ところで、だ。
フマレルたちは一から開いて、こっちのフォックス宅にって言う手はずだったと思うんだが・・・・・・緒じゃないのか?
手紙にはフォックスが、向こうで自分の家までのゲートを出すって
そんな段取りだったはずなんだが
リューキユウ「・・・・・・エッ?」
そして同時刻、東大陸のサンライズでは・・・・・・。
この日、サンライズのオーステラ港では数多くの貿易船が停泊していて
サンライズはいつも以上に活気づいていた。
フマレル「もー約束の時間なのに、れのじたちおっそいなぁ。
…・・・時間、間違えてないよねワタシ?」
フマレルは念のためにと、集合場所と時間が書かれている
紙をポケットから取り出して確認する
そこに記されている時間と、時計台の時間を確認して
合ってるのを確認し
フマレル「こんな事なら全員迎えにいけばよかった・・・・・・
だけどキューちゃん、家に行ったら居なかったんだよなぁ。
まさか・・・・・・ねぇ?」
???「フマさんごめぇーーーん!!!」
不意に背後から聞き慣れた声で名前を呼ばれて
振り返ると、見知った顔が何人もいた。
そしてその中には同じ遠征隊に所属するハクテンカも一緒だった。
フマレル「何してたんだよ~みんなぁ!
皆が遅いからワタシが間違えたのかと思ったじゃんか!」
りの「遅れてごめんなさい、フマレルさん!
実はさっき・・・・・・」
言いながら、フマレルともう一人を除いて
皆が一斉にとある人物に視線をやる。
すると
ハクテンカ「フマレル、すまない・・・・・・
皆が待ち合わせ時間に来れなかったのは俺のせいなんだ・・・・・・」
フマレル「???一体どういうこと?」
リミュニー「実はですね、此処にくるまでにちょっとした
ハプニングがあって・・・・・・それが・・・・・・」
リミュニー達が何故、予定時間よりも遅れてきたのか
その理由をゆっくりと語りだす
リミュニー「私達全員、1時間前にサンライズ入りして
オーステラ正門のとこで合流したんですよ」
フマレル「ん?一時間前?
それなら此処に到着しててもおかしくなかったんじゃ?」
ミョルニル「アハハ・・・・・・普通はそうなんですけど
実はさっき、待ち合わせ場所に向かってたら
走り回って遊んでいた子供数人の内1人が
転んでケガをしたんですよ」
フマレル「ふむふむ・・・・・・」
りの「それで
ハクさんが子供を起き上がらせて手当てしたんですけど・・・・・・
問題はそこからで・・・・・・」
フマレル「もしかして・・・・・・?」
ハクテンカ「ああ・・・・・・。
その子供が俺を見て泣いてしまってな・・・。
さらには叫び声を発するものだから
近くの衛兵がやってきて、取り押さえられていたんだ。」
れのじ「そういうことなのよぉ
それで、身元引受人って事でKKBの盟主がきて
さっき釈放されたばかりって訳なの・・・」
一同「はぁ~・・・・・・」
先ほどまでのハプニングを思い出したのか
フマレル以外の者達は同タイミングで、深い溜息を吐いて
近くの椅子に腰を下ろす。
フマレル「あれ・・・・・・?
そういえばキューちゃんは一緒じゃないの?」
思い出したかのように、フマレルはこの場にいるメンツを確認し
1人足りない事に気づいて、そう尋ねた。
りの「昨日の夕方ぐらいに
カバン背負って家を出た姿は見ましたけど・・・・・・
その後はみてませんね」
れのじ「もしかしてキューちゃん・・・・・・
船の出港時間確認してたから、船で西大陸に行ったんじゃ?」
フマレル「エェッ!?
あれほど当日は全員集まって
ワープゲートで飛んで行くからねって説明したのに・・・・・・」
そう、数日前からイベント会場である
西大陸のハヌイの床に建てられているフォックス宅には
ワープゲートを通して移動しようという段取りが
東大陸の参加メンバー全員で決められていた。
その時、その場にはリューキュウも確かに出席していた筈なのだが・・・
???「みなさぁーん!お待たせしましたー!」
椅子に座って、皆でリューキュウ等の事を話し合っていると
少し離れた場所から、手を振りながら走り寄ってくる青年が1人
そしてその後ろから青年の後ろを見守るようにゆっくりと
歩いてくる、綺麗な顔立ちが印象的エルフの男性の姿を捉えた。
ミョルニル「あ、フォックスくん!ヘルオさーん!
こっちこっちー!」
リミュニー「会いたかったよーフォックスくん!
んー何時抱きしめても、良い香りだねぇ」
近づいてくるのが待ちきれなかったリミュニーは
自身からフォックスに走り寄って行き
彼の体の感触を十分に堪能するかのように、力一杯抱きしめた。
そして、今までフォックスの後に続くようにして歩いていた
ヘルオだったが、リミュニーが抱きついたのに一瞬驚いたが
直ぐに我に返り二人に駆け寄って
リミュニーを力ずくでフォックスから引き剥がそうと試みる
ヘルオ「こらっ・・・やめろ!そんな簡単にベタベタするんじゃない!
フォックスが勘違いして
変な気でも起こしたらどうするんだ!」
まだ、青年とは言え男の子
細い目の中に隠れる綺麗な瞳は、見たものの心を惑わし
そして癒しを与える(ヘルオ説)
心が純白のように真っ白で清らかなフォックスを守ろうと
ヘルオは必死になっていた。
フォックス「ファッ!?勘違い・・・・・・変な気?
う、うぅっ・・・リミュニーさん!
僕の体に何か柔らかい感触が・・・・・!!」
流石のフォックスも、当たる感触が何であるのかを知っているのか
頬を紅く染めて、自身に抱きついている女性から逃れようと
必死に抵抗するが虚しく・・・・・・
ヘルオ「やめろぉぉぉーーーー!!!!」
ハクテンカ「相変わらず・・・ヘルさんはフォックスくんが絡むと
セコムセキュリティが発動するな」
フマレル「見てる分には面白いんだけどねぇ。
でも、面白そうだからワタシも混ざろう~っと!!
フォックスくぅ~ん♪」
ヘルオたちの一連のやり取りを傍観していたフマレルだったが
ここにきて、悪戯心に火がついたようで
フォックスからリミュニーを引き離してから
リミュニーと睨みあいをしていて、フォックスのガードが
緩い状態を狙って
今度はフォックスの後ろからそっと、もたれかかって甘えるように
相手の耳元で名前を囁いた。
ヘルオ「だぁぁぁっ!!リミュニーさんをけん制している間に
何をしれっと顔スリスリしてるんだメス猫ォォォッ!!!」
こうなったら・・・禁じ手を使うしかないか・・・・・・このっ(ぎゅっ)」
まず、リミュニーの後ろでクイクイっと跳ねるように
動いている尻尾を思い切り掴んだあと
そのまま、フマレルの尻尾を片方の手で掴む
すると二人は気の抜けたような声を出しながら
その場に倒れこんでしまった。
りの「あ・・・尻尾掴まれて伸びちゃった二人とも・・・・・・。」
ミョルニル「私達フェレの弱点でもありますからね・・・。
どんなに体を鍛えても、その一点だけは鍛えようがないですから」
れのじ「(良かった・・・悪戯しようって考えただけで
行動に移さなくて・・・)」
ハクテンカ「よっ・・・と、暫くは動けないだろうから
俺が二人を担いで行こう。
フォックスくん、そろそろゲートを頼んでもいいかい?
フォックス「あ・・・はい!では皆さん
ゲート開くので集まってください!!
では、西大陸のハヌイの床へ出発します!」
目の前に円状のワープゲートが生成されると
その場にいた全員がジャンプして、ゲートへと飛び込んでいく。
こうして、彼らはハヌイの床に建てられている
フォックス家に向かうのだった・・・・・・。
舞台は再び、ハヌイの床に戻り
ハヌイの床のとある海沿いに建てられている
フォックス宅にて・・・・・・
トーヤ「あ、皆さーん!ゲートが現れましたよ!」
トーヤが暖炉の前で暖まって休んでいるところに
すぐ横で空間が歪み、やがてワープゲートになって
ゲートの中から良く知る人たちが現れた。
フマレル「みんな、こんば・・・あーっ!!!
キューちゃんこんなところにいたし!!!」
リューキュウ「フマさん、それに皆さんもっ!?
なんでワープゲートで移動してきてるんですか!
私も一緒したかったですよぉーっ!」
りの「あのぉ・・・前の打ち合わせの時に
ちゃんと、段取りしてたはずなんですけど・・・・・・」
リューキュウ「・・・・・・あっ(確かそういう集まりが
何日か前にあったかもしれない・・・だけど
その日は無性に眠くて、居眠りばかりしてたから
もしかしたら・・・・・・)」
数日前、リューキュウは確かにフマレルたちに呼ばれた記憶があった
記憶は曖昧なものだが
何かの待ち合わせをすると言っていたところまでは思い出せていた。
だが、それが何かを今の時点で思い出せずにいた
フォックス「と、とりあえず皆さん!
今日はバレンタインデーなので、もう細かいことは抜きにして
最後まで楽しんで遊びまくりましょう!
一同「「「いぇーい!ハッピィバレンタイィィーーン!!」」」
アルタイル「そういえば、らむぅとタロスの姿が見えませんね?」
ウィム「らもぉならあそこで寝てるよ」
らむぅを探すアルタイルに、ウィムは静かに答えて指を指す。
そこにはなにやらピンクの生地を腕に抱き
ソファの上で、すぅーすぅー寝息を立てて寝ている女性の姿があった
咲火「数分前に部屋に入ってきて
眠い眠い言いながら、ソファに横になってたらこの有様なの。」
アルタイル「イベントなのに勿体無い!
ご飯は食べたんですかねぇ?」
レッドスティンガー「さっき、皆が話をして盛り上がってる最中に
咲ちゃんが1人こっそり厨房に行って
らむぅとタロスの分の食事作ってたよ」
そう、イベントが開幕しているのであれば
既に振舞われている食事を持ってくれば、手間は無かったのだが
開幕前と、らむぅはすぐにご飯を食べたいであろうと言う
咲火の気遣いから、三人分の料理を作ってあげていたのだった。
ウィム「・・・ちょっとまて、三人分(´・ω・`)?」
アルタイル「因みに咲ねーさん、その料理と言うのは肉系?」
咲火「そうだよ(笑)」
あ、察した
ウィムとアルタイルの二人は〈肉料理〉というキーワードを聞いて
残りの1人分を誰が食べたのか
すぐに頭の中に顔が浮かび上がった。
それは・・・・・・
レッドスティンガー「いやぁ、やっぱり鶏肉は塩焼きが一番だね
咲ちゃんが作る料理はなんでも一番美味しいけど!」
咲火「もーレッドの分は考えてなかったんだからね?
食べたそうに、捨てられた子犬みたいな眼で見つめるから
仕方なく作ったんだから~」
咲火は少し頬を膨らませながら
レッドスティンガーの頬を人差し指でツンツンして悪戯をしていた
夫婦でじゃれあっている姿を見て
アルタイルとウィムは心の中で、ご馳走様と呟いていた。
アルタイル「らむぅはここにいるから良いとして・・・タロスは?」
ウィム「あそこ・・・・・・」
これまたウィムがタロスの居場所を把握しているのか
アルタイルが尋ねると、ウィムがある方向に指差す。
タロス「ほぅ、このチョコレートはりのちゃんが作ったのか。
とても美味しそうだ・・・。」
りの「本当はブランデーチョコにしようと思ったんですけど
じゅもんさんの人たちで、お酒嫌いな人がいると思って
お酒じゃない普通のチョコレートにしようと思って作りました。」
リューキュウ「りのさんお菓子作るの上手いですよね!?
色んな形のチョコがあって、食べるのが勿体無いくらい可愛い」
リューキュウの掌に広がるのは星や月などと言った
かわいらしさをコンセプトに作られたチョコレートだった。
れのじ「ハクさんの作ったチョコレートも中々美味しそうですよね。
板チョコなんだけど、少し厚みがあって
尚且つ、半分に割って見てみると
チョコの間に何か黄色いものが挟んでありますし。
これはなんですかハクさん?」
ハクテンカ「ああ、それはバナナ味のチョコだよ。
見た目はチョコだけにして、食べてからバナナも入ってるって
驚かせようと思って工夫してみたんだ」
リルム「もぐもぐ・・・お口が幸せ(*´罒`*)
もっと!もっとチョコよこせーーー!!!
もっと食べたいーーーー!!!!」
食いしん坊のリルムの食欲に火が点いたらしく
一緒にいるオクロックの分も、彼のが無くならない程度に略奪していた。
オクロック「食べたらちゃんと口をゆすげよ
じゃないと虫歯になるからな」
リルム「うんっ!」
そして、汚れたリルムの口をハンカチで拭うオクロック
ハリ「奥さんを気遣うところが完璧に・・・出来る夫だわー。
ハリもあんな旦那欲しい」
れのじ「旦那・・・コンテスト一位同士・・・・
私・・・フォックスくん・・・・・・はっ!?」
そこまで考えたところで、不意に背後から殺気を感じたれのじは
シャドウステップを発動して、殺気の背後を取った。
ヘルオ「れのじくん、キミは今なにを頭の中で考えていたのかね?」
れのじ「べ、別に何も特別やましい事なんて
考えていませんよおにいさーー・・・・」
ヘルオ「黙れ、オレをお兄様と呼ぶんじゃない。
フォックスはオレが目の黒いうちは誰にもやらん!!!」
言って、隣にいるフォックスを引き寄せ
抱きしめながら声高に宣言する。
フォックス「えぇっ!?僕はまだ誰とも付き合ってないので
大丈夫ですよ兄さん?」
ヘルオ「そういうことではない!!
この愛らしく、小動物のように可愛らしいフォックスが
何処ぞの馬の骨とも知らない性悪女に取られるなんて・・・
考えただけでおぞましくて、オレは一睡もry(以下略」
リミュニー「だからぁ~お兄様~私がフォックスくんの面倒を
タップリみますからーー・・・・」
ヘルオ「余計心配だわ!!!
フマレル「まぁまぁ・・・その話は終わりにして
次のチョコにいってみよー!」
フマレルは椅子の上に乗って、注目を集めるように大きな声を出す。
全員がフマレルのほうに視線を向けたのを確認してから
フマレルは自身が持ち寄った袋の中身を取り出して
皆に配っていく。
「ちょっと趣向を変えて、
チョコの食べさせあいっこをしようと思うの!
くじも用意してるから、皆順番に引いていってね!」
そう言って、フマレルは細い棒のお尻を掌に持って
皆のほうにかざす
そして、フマレルの前に皆が一列に並んで
順番にくじをひいていく
引き終わった後、フマレルの誘導のもとペアに分かれる
丁度、配置が終わったところで
塾から急いで駆けつけたモンと
シルヴァ、えみり、そして既に酒が体に入っている状態のシャオ
四人が途中から加わり、残ったメンツで振り分けられることとなった。
ウィム「起きろ・・・らむぅ」
らむぅ「眠い・・・寝かせてくれ」
フォックス「一緒になりましたね、兄さん」
ヘルオ「当然の結果だな。(まさかインチキしたなんて
口が裂けても言えない)」
トーヤ「やったー!一緒になりましたね、リューキュウさん!」
リューキュウ「そうだね!やったねトーヤちゃん!
優しく食べさせてね(笑)」
咲火「いつも、レッドと一緒だね」
レッドスティンガー「うんーそうだね、もう運命共同体だね」
リミュニー「宜しくね~ニルちゃん」
ミョルニル「よろしくおねがいしますリミュニーさん!」
リミュニー「ニーでいいよ~」
りの「宜しくお願いね、ハクくん」
ハクテンカ「あ、うん・・・宜しく頼む」
リルム「オクロの分のチョコちょうだい!!」
オクロック「何処まで食べれば気がすむんだ!!!」
ハリ「やっぱり・・・タイルと一緒かーナイワー」
アルタイル「またまたぁ~そんなこと言ってぇ
嬉しいの知ってる、タイルは知ってますよぉ!」
シルヴァ「ところで、このチョコから何か臭いが・・・」
えみり「そう!ずっと気になってた…これどっかで・・・」
モン「宜しくね、タロス!」
タロス「ああ、宜しく頼むよモンちゃん
(この臭いは絶対にあれだから、すりかえておくか・・・)」
れのじ「宜しくね、フマさん
ところでこれ・・・」
フマレル「宜しくね!!
よしじゃあ皆ー!せーので食べさせてね?
せーーーーのっ!!!」
フマレルの号令を合図となり
それぞれのパートナーの口にチョコを放り込む
すると・・・
らむぅ「?!?!?なにコレかれぇぇぇぇぇ!?
ちょっと待て、これカラシだろ!!!」
リューキュウあートーヤちゃぁぁぁんごめんね!!!
気づかずに食べさせちゃって・・・あとでフマさんボコッとく!!!」
リルム「からいよぉぉぉーーーっ!!!
こんなチョコやだぁ・・・・・・」
モン「あれ・・・甘い?皆辛いって騒いでるけど
アタリがあるのかな、タロス?」
タロス「そうかも・・・しれんな(絶対にネタバレはできん)」
各所で悲鳴に近い声をあげているものたちがいた。
そして、れのじたちはタイミングがズレたので未だ食べていない
れのじ「フマさん・・・これはもしかするとカラシ入りチョコ!?」
フマレル「へっへーん、ちょっとしたお遊び要素を入れたのさ!!
さぁ、食べようか?」
不敵な笑みを浮かべて、手に持っているチョコレートを
れのじの前にかざす。
皆が食べたから、自分だけ食べない訳にはいかない。
皆に対して後ろめたい気持ちから、食べない選択肢は入れてないが
どうしても目の前の女子に一矢報いたい思いがあった。
そして、思考をめぐらせていると思い出したことがあった。
れのじは一瞬ポケットに手を突っ込んで
握っていたものをしまって、それと交換して
ポケットに今まで入っていた物を手にとって取り出した。
れのじ「わかりました・・・いざっ!!!」
フマレルも皆に食べさせた以上、食べない訳には行かない
自殺行為になるのを覚悟し、意を決した彼女も大きく口を開いて
れのじが握るチョコを口に含む。
すると・・・
フマレル「これ・・・ワサビ・・・・・・・だと」
れのじ「ふふ・・・・・・私も作っていたんですよ・・・・・・フマさん
一緒に地獄に落ちようぞ!!!」
こうして、フマレルのカラシ入りチョコの食べさせあいっこは終了した。
えみり「さっきのあれ、まさかチョコにカラシがあるなんて
思わなかったね」
シルヴァ「うむ・・・
今後、バレンタインのチョコにトラウマが出来そうだ」
りの「私の場合は・・・ハクくんが気づいてくれたので
食べさせられなかったですけど
ハクくんは進んで食べましたから・・・」
ハク「偶々だ・・・」
モン「ハクさん優しい!!顔に似合わず紳士だねっ!!」
モンの褒めているようで褒めていない台詞に
一瞬りのたちは表情を凍らせたが
当の本人のハクテンカは少し笑みをこぼしながら
今度からはモーフレンドアバターでも着るか・・・」
と、誰に言うでもなく呟いた。
フォックス「今日は楽しかったですね、兄さん」
ヘルオ「楽しかったが、同時に色んな意味で疲れたさ
リミュニーたちもいたしな・・・・・・」
そう、事あるごとにフォックスに茶々入れにきては
ヘルオがフォックスを守っていたので、気の休まる時間がなかった。
そして現在、やっと落ち着いてからは
ヘルオの膝の上にフォックスを座らせて
ヘルオがフォックスの頭をクシャクシャと撫でていた。
撫でられている間、フォックスは小さい子供のように元々細い目を
さらに細めて恥ずかしそうに、それでいて嬉しそうな表情で
フォックス「もう・・・僕は子供じゃないんですよ?」
ヘルオ「オレから見れば子供さ。
尻の青い子供なのさ」
リミュニー「今日はとても楽しかったねぇ、ニルちゃん。
美味しいご飯とチョコも食べれたしね」
ミョルニル「確かに、そうですね。
フォックスくんの料理の腕は聞いてましたけど
実際に食べてみると、とても美味しくて驚いてしまいました。
また機会があれば食してみたいですね」
誰が用意したのか、二人は容易されたお茶をズズーッっと吸いながら
窓から見える月を見ながら、今日の出来事を振り返る。
リューキュウ「バタバタとしてましたけど
とても楽しかったですね。
またこういうイベントがあればいいなぁ」
咲火「次はホワイトデーで何かやりましょうか!
料理は頑張るよ!」
リルム「じゃあ私は味見担当!」
シャオ「もうリルムは完全に食べる専門だな・・・・・・
はぁ~酒がんまーい」
オクロック「オマエさんは飲む専門だがな」
シャオの飲むペースに合わせて、オクロックは酒瓶を手に取り
シャオの飲んでいるコップに、お酒を注ぐ
ハリとアルタイルも
シャオに負けないぐらいのスピードでお酒を飲んでいた
ハリ「もっろ酒もってほーい!」
アルタイル「アハハーハルィもーよってゅー!!
アハハハハーーー」
だが、同じペースで飲んでいた二人だが
もう既にへべれけ状態になっており、呂律が回っていなかった。
こうして楽しい時間はあっという間に過ぎ去り
終わりのときを迎えようとしていた。。。
リューキュウ「で、傷ついたリューキュウさんを敵なのに
手当てしてくれたのがトーヤさんで・・・
その時リューキュウは・・・・・・いてっ」
ぼーっとした表情で、ぶつぶつと独り言を呟くリューキュウに
フマレルはチョップを食らわしてから
フマレル「ほら、ジーザスがしめの挨拶するから立って」
言われて、リューキュウ以外が立っているのに気づいて
まだお酒が抜け気っていないながらも
立ち上がってシルヴァのほうを向く
シルヴァ「あー皆いいかな?
今回は敵対する者同士集まってくれてありがとう。
普段、戦争では互いに命を奪い合って戦っている者同士が
こうしてこの時間だけは野生を抑え、理性で対話をしている。
これは、この瞬間はもしかすると神のお告げなのかもしれない。
もしかすれば、これを機会に我々の新しい未来が待っているのかもしれない
どうか諸君・・・・
入・信・せよ!」
続く・・・かもしれない
あとがき
これは完全に身内のために書いたので、気になさらず!!
アーキエイジ外伝 @ramia3659
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