男の娘とは知っての通り、女装する男の子の事。
女装する理由は色々とあるだろう。気分で、そういう趣味で、そういった事をしなければならないとか。それでこの尚君は、義理の姉であるつづらが好きだからこそ、この女装をしている訳である。
この辺が女装をしている理由としては、珍しいというか新鮮だと思う。
それでつづらちゃんは女の子が好きで、なのに彼女はその美貌故にイケメンが集まってしまう。それを阻止したり、ある登場人物からの作戦やらで忙しく駆け巡る尚君が、何とも見えていて楽しい。
つづらちゃんを始め、出てくる登場人物がポジティブというか何と言うか……とにかくアグレッシブ過ぎて、思わず「おい!?」と突っ込みたくなる所。尚君が疲労しないか心配してしまいます(笑)。
男の娘が好きな方には、ぜひとも読んでいただきたい!!
大好きなお姉ちゃんはエグいぐらいにモテちゃう超美少女(ただし本人は女の子が好き)。
そんなお姉ちゃんに振り向いて欲しくて、女装を始めた主人公の尚ちゃん(♂)。
愛する姉のためだったら、尚ちゃんは何だってやります。
自分(の女子力)を高める努力を怠らず、
姉(の取り巻きの男どもや交友関係)を理解しようと必死になり、
姉をつけ狙うHENTAIが現れたら、(ハニートラップで)撃退しようとする……。
何かもう、色々と突き抜けています。「なぜその行動に一瞬の迷いも感じないの……?」と困惑してしまう場面がしばしばあるほどです。
でも、こう考えてみたら、私はちょっとスッキリしました。
ある意味では、尚ちゃんは漢(おとこ)なのだ……と。
北方謙三氏が描くハードボイルド小説の主人公とはかなり方向性が違うものの、尚ちゃんは、己の信念(女装道)をけっして失わない、漢の娘なのではないでしょうか。
だって、好きな女の子をゲットするためならどんな手段も選ばないって、最高に男らしいでしょ……?
尚ちゃんの迷いなき女装道の果てに、何が待っているのか?
ラスボス(?)のHENTAIと対峙した尚ちゃんは、いったいナニをつかまされ……げふん、げふん!
それは、読者のみなさんが確かめてください!
井上尚は男の娘である。
といってもトランスジェンダーな要素は無く、大好きな義姉に喜んでもらうため、大好きな義姉との距離を縮め××な関係を築くために、敢えて女の子の格好をしている。
ちょっと変わった子なのである。
エグいくらいにモテる姉の周囲には、レベルの高いイケメンが群れをなしてたむろしており、その中に入って自分の存在が霞むのではないかという、焦燥から、このような行為に走った、少しトンチンカンな子なのである。
義姉を護るために身体を張って頑張る健気な子なのである。
結局、なにを言いたいかというと、読まなきゃ何も分からないって事なのである。
ご一読あれ。
『男の娘』と書いて『おとこのこ』と読む。
すでに、市民権を得て久しい女装男子の言葉。
しかし、まだ実際に身近にいないという人も多いに違いありません。
キャッチコピーにもある主人公の尚くんが「まず、女装します」動機が、紹介文にあるように義姉を落とすため。
女装に興味があるわけでもなく、恋愛対象が男だからというわけでもなく、一目惚れした義姉の恋愛対象が女の子だったため。
努力する方向がおかしかったり、天然記念物レベルのド天然だったり、だんだんと語尾の☆等が怖くなってくる先輩……これでもかというくらい、癖の強い、それでいて魅力的な登場人物ぞろいですが、尚ちゃんも負けてません!!
女装の動機が動機なだけに、主人公もまだ気がついていない男の娘の恐ろしい魅力に、我々読者も引き込まれます。
気がついた時には、もう男の娘から目が離せなくなっているかも?
男の娘属性がある方もない方も気楽に読めるお話です。ただし、警報が鳴る前に避難してください。(※鳴りません)
引き込み方がいつもながらとても上手です。詳細はすでに紹介文であるのですが、義姉を落とすために「まず、女装します」はそこで大笑いさせていただきました。
そんな感じで努力の方向性がおかしいのですが、それは物語のなかでも発揮されます。それが主人公の男の娘、井上尚(いのうえ なお)の魅力でもあります。そしてあざと可愛い!(ここ大事)読者は主人公が男の娘であることを知っています。ですが、それでも可愛いのです。
そんな主人公に魅了される登場人物や読者が多数いることを信じています。
主人公の努力がどのように実を結ぶのか、それは読んで確かめてください。きっと楽しんで読めると思います。