エグいくらいにモテまくる姉を落とすには? (#エグ姉)

和久井 透夏

手順0 運命の出逢いをしましょう

「あなたがなおくん? 私、つづらっていうの。君、とっても可愛いね、私可愛い子大好き!」

 十歳の頃、両親の再婚でボクに一つ上の姉が出来た。


 色素の薄い肌にふわふわした栗色の長い髪、くりくりとした大きくて丸い目、まるで人形のように可愛らしい彼女は、

「私、ずっと一緒に遊べる兄弟が欲しかったの! これから仲良くしてくれたらすっごく嬉しいなっ!」

 と、ボクの手をとって、弾けるような笑顔でそう言った。


 物心ついた頃からずっと父親と二人で、ある日、急に父から新しいお母さんとお姉さんが出来ると言われたボクは当時、かなり混乱していた。

 でも、彼女の笑顔の前に、ボクの不安や不満は一瞬で吹き飛ぶ。


 それはきっと一目惚れ。


 つづらはいつの間にかボクの事を尚くんから尚ちゃんと呼ぶようになったけれど、よく祖母や近所のおばさんには尚ちゃんと呼ばれていたので特に気にしなかった。


「尚ちゃん、私のこの服とか尚ちゃんにも似合うと思うの」


「わあっ! 思った通りとっても可愛い!」


「この髪かざりもつけて……ふあ~っ、尚ちゃんが可愛くてお姉ちゃん幸せっ!」


 つづらはたまにボクに自分の小さくなった服を着せて着せ替え人形みたいにして遊ぶ事があったけれど、つづらがいつも喜んで褒めてくれるから、ボクも嬉しい。


 その事もあって、ボクは髪をいつもショートカットの女の子くらいの長さよりは切らなかったし、その方がつづらも喜んだ。

 一度、思った以上に短く髪を切られた時、ボクの髪がそこそこに伸びるまでつづらが酷く落ち込んでいたというのもあるけれど。


「尚ちゃんはね、私の宝物なんだよっ」

 なんて、つづらはよく言ってくれて、

「うん、ボクもつづらちゃん大好き!」

 と、ボクも毎日のように言っていた。


 連れ子同士なら結婚できる、というのはつづらに出会う前からドラマか何かで見て知っていたので、おめでたいその頃のボクは両思いだと浮かれていた。

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