時報男

20代前半 職業不明

痩せていて目が怖い

一見さん


開店直後

誰かが扉の小窓から覗いている


扉まで行き

「どうぞ」

と誘ってみた


首だけ出し店内を見回す男…

「誰もいない?」

他の客がいるか確認

「まだ誰もいませんよどうぞ」


安心したかの様に店に入って来た


カウンターに座り飲み物を注文


それ以外何も話さない

「初めてですねお近くなんですか?」


話しかけても

答えがない


チョット危なそうな子だぁ

目が怖い…

なんか心配になってきたぁ


10分近く

無言の後…

ようやく話し始めた男



「時報…」

「えっ?」


「時報って………ね………奥が深いんですよ………」

「時報ですかぁ?」


「知ってます?○○県の○○TV…夕方のnewsの時間…時刻がTVの下に出るんですよ…ナゼって?…それはnewsのテロップが上に出るから時刻とかぶっちゃって見ずらいと視聴者から苦情が来て○年の○月○日の○時に画面の下に出る様になったんですよ」


「ハァ…そうなんですかぁ…」



「それでね」

この辺りから男は興奮しだし目も輝き始める


「朝の番組でCM中も時刻が出るTV局あるでしょ?それはね○○県の○○TVが○月○日の○時から始まったんですよ」


目がギラギラ

顔は笑み満々

話しはドンドン続く続く



「数字の形や大きさや色も違うんです○○TVは丸文字○○TVは角張っていて…○○TVは数字が大きくて………」


ウイスキー一杯で時報の話し延々2時間

それもノンストップでしゃべりまくり


余り聞いてないから内容も忘れましたが

何月何日の何時何分何秒単位で全て覚えている時報男


ある意味すげぇ


今夜もどこかでTVの時報について熱く語っているに違いない


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る