第15話
「いやあ、本当に何から何まですみません」
廿六木さんには五反田家に入れてもらったり、雄二の介抱までしてもらったりとさんざんお世話になってしまっている。金銭が発生するくらい助かっている。
「お気になさらず。お互いさまですよ。というより、お嬢さまのお世話が仕事なのにもかかわらず、このような事態を引き起こしてしまったのはわたくしの責任でもあります」
「廿六木さんが責任を負うことではないと思いますよ。五反田もきっと、やるせない性欲に駆られたってこともありますでしょうし、事故みたいなものですって」
どうしてオレは五反田の肩を持っているのか。廿六木さんが悲しそうな顔をしているからだ。彼は悪いことを何ひとつしていないのに責任を感じすぎている。
とても真面目で、クールで、それなのに仕事に対して情熱的だ。オレはたぶん、この人に憧れさえ抱き始めている。そしてできるなら、この人には俯いてほしくない。
「ふむ……やはり異性になるとはいえ、ここは使用人としてではなく、廿六木
「それっていわゆる……」
「ああ、勘違いなさらないでくださいね。決して同人誌ならではの展開などではなく、あくまでお嬢さまには、正しい性への向かい合い方を教え込むだけですので」
この人なら本当に保健体育の教科書を片手に五反田へ真面目に性教育を叩き込みそうだ。冷静に据わっている瞳がその証拠だ。とても澄んでいて、いっさいの穢れがない。
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