第7話

 チャイムが鳴って、席に着く。何の因果か、僕の席はちょうど賢一やなつとは離れていて、隣には五反田さんがいる。ホームルームは始まっているけど、担任の先生は静かな人だから注意されることもないはずだ。


「ねえ、五反田さん。さっきのことだけど」


「あなたを取り巻く三角関係のこと? いちおうあなたの話が本当かどうか確かめたかっただけよ。強引に話題にして悪かったわね」


「そこは素直に謝るんだね。てっきり僕をサンドバッグにしたいのかと」


「それも否めないけど、信じてくれたあなたを裏切るような真似をしてしまったのは事実よ。お詫びとしてあたしを本気でぶっていいわ。いっそのこと痕が残るくらい本気でやって頂戴! さあ、早く!!」


「とりあえず落ち着いて。そこまでは怒ってないから」


「あら、ぶってくれないの? あなた、SMの基本も知らないのね……まあいいわ」


 クール系なのか情熱系なのか、なかなかに掴めない個性をお持ちでいらっしゃる。でもそれが僕の心をやさしく包んでくれる助けにもなっているのは事実だ。彼女の冗談は聞いていて不快感がない。まさに身内のそれに似ている。

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