第7話
チャイムが鳴って、席に着く。何の因果か、僕の席はちょうど賢一やなつとは離れていて、隣には五反田さんがいる。ホームルームは始まっているけど、担任の先生は静かな人だから注意されることもないはずだ。
「ねえ、五反田さん。さっきのことだけど」
「あなたを取り巻く三角関係のこと? いちおうあなたの話が本当かどうか確かめたかっただけよ。強引に話題にして悪かったわね」
「そこは素直に謝るんだね。てっきり僕をサンドバッグにしたいのかと」
「それも否めないけど、信じてくれたあなたを裏切るような真似をしてしまったのは事実よ。お詫びとしてあたしを本気でぶっていいわ。いっそのこと痕が残るくらい本気でやって頂戴! さあ、早く!!」
「とりあえず落ち着いて。そこまでは怒ってないから」
「あら、ぶってくれないの? あなた、SMの基本も知らないのね……まあいいわ」
クール系なのか情熱系なのか、なかなかに掴めない個性をお持ちでいらっしゃる。でもそれが僕の心をやさしく包んでくれる助けにもなっているのは事実だ。彼女の冗談は聞いていて不快感がない。まさに身内のそれに似ている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます