Satan

@a__uhyyy

1. 答え


大学一年の秋。


私は彼氏以外の男と初めてデートしていた。


一個上で、

オシャレで背が高くて、面白い。


私の彼氏は同い年で、

オシャレじゃないし背が低いし、面白くない。



飲み慣れていないお酒のせいでクラクラしていた。

爽やかだけど甘い香水の匂い、彼の匂い

キラキラしている夜の街

ギュッと掴む、コートの紐


「俺、パンクロックが好きなんだよね」

「私のお母さんも。だから私もよく聴く」


「すみれってオシャレだね」

「今日のスカートおばあちゃんのおさがり」

「俺、そういうの好き」

「わかる、服作るのが夢」

「いいね、俺にも作ってよ」


「ここの店オシャレだね、ありがとれん。」

「適当に予約してみた。あ、アンケート」

「なに書く?」

「この店の不満な点…すみれ笑」

「じゃあ店の良いところ、れん」

「お前真似すんなよ笑笑」


「ハートのリングもーらい」

酔いが回りすぎた。

そう言って、私の指からリングを取って、れんの指にリングをはめてた。


「俺、人のこと好きになったの一回しかないんだよね」

「ほんとに?あり得ない」

「いや、まじ。自分で言うのもあれだけど、モテるから自分からアプローチとかできなくて。」

「好きな人はどんな感じだったの?」

「好きな有名人に似てた。バイト辞める日にLINE交換しただけ。それ以来なんもない。一年くらい前の話。」

「すごいね」

「もう好きとかわかんねえ」

「私もわからないや」


何気ない会話が楽しくて仕方なかった。

チャラそうというか、年上感がないし、楽観主義に見えてたけど、意外と

なんか私と似てるかも。と思った。


「すみれの家行っていい?」

「いいよ」


「え?いいの?」

「うん、れんがいいなら」


あくまでも彼氏のことが好きな彼女として

お酒のせいということにしてた。

彼氏持ちの彼女としての理性を守りたかった。

れんに嫌われたくなかった。

彼氏に嫌われたくなかった。

自分が嫌いになった。





家に着いてお風呂に入って

一緒のベッドで寝る。

何もないわけがない。


耳を甘噛みされて、抵抗する。

れんの舌が私の小さな耳をツーっとなぞる。

吐息が聞こえて

いつのまにか私の舌はれんの耳にあった

れんは耳が弱い。お酒も弱い。

2人とも止められなかった。


「んっ…」


そうしてれんの指は、

優しく私の中に。


彼氏のはなにもかも

いつも強引に私の中を突いていた。


だから、れんの優しい刺激に痺れた。


「ダ、メ……っ、」

私は人の指で初めて果ててしまった


そして舌は彼氏よりも大きな茎をなぞって

口は茎を頬張っていた


お互い酔いすぎていて、れんのは勃たないから口でした。

達した時は、たくさん出て、彼氏とは違う香り。彼氏のより嫌じゃなかった。

だけど苦しくてむせた。







…答えはもう出てた


彼氏とはもう終わり

れんの恋人にもなれないだろう

私みたいな汚い女、


「ごめんね、」

「俺こそごめん、間違えた」

「うん、。」

「でも俺さ、浮気全然アリ派なんだよね」


「…え?」

「だって結婚してるわけじゃないし。かっこいい人とか可愛い人いたら、味見してもいいじゃん。」

「うーん…彼氏にもれんにも、申し訳ない」

「いやむしろ俺はお前に申し訳ないわ、そんな考えてたんだ。意外とちゃんとしてるんだね。」

「そんなんじゃないよ。好きな人じゃないと、するのイヤ」


「ふうん…俺、お前のこと少し好きかも。」

「なにそれ」

「まだわかんない。お前のことも。これからもっと知りたい。だけどお前とは分かり合える気がする、なんだか俺に似てるし。」

「そうだね、私、これからもっと好きがわかるようになりたい。」


「ただ俺、好きになられたら冷めるんだよね」

「蛙化現象?」

「そう、自分に自信がないっつうか。とにかく、告白されて付き合うけど、結局振ってた。」

「そうなんだ。」


少し好きって絶対好きじゃないよね。

そんなの嘘。


あと、したのは間違えたんじゃない。

したかったから行動した。


申し訳なさはあったけど、

実際したかった。


れんが最初から好きだった。

だけど好きになっちゃいけない。


浮気はだめ

行儀よく

優先席は座らない

街中ではふざけない

勉強はしなきゃだめ

親と仲良くする

思いやりのこころを持つ

付き合うには我慢も必要

アソコの毛は整える

相手の趣味に興味もつ

性格が大切

料理は上手なほうが良い

脚は閉じて座る

いつで笑顔で明るく

彼氏のことだけ見てる

付き合う前にキスはダメ

思わせぶりに

別れる前に少し待ってみて


出したらキリがないルール

恋愛のルール、法則

何が正しくて本当かなんて人それぞれのはずなのに、どうして今まで従っていたんだろう


れんの、味見してもいいじゃんって言葉が衝撃的だった。

頭から離れなかった。



「私なんて、5年も付き合っているのに、彼氏から好かれてるかわかんない。好かれているかって常に気になる」


「ふうん、彼氏とはエッチしたことあんの?」

「ない。口はある。」

「へえ。」


嘘ついた。エッチはたくさんした。

でも、好かれているかわからない、好きがわからないのはほんとうだった。



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