第5話

まず財布だ。千円札が3枚と小銭少々。あとは国保のカードと免許証!うん、やはり間違いない。山城ケイジだ。住所は長崎県佐世保市…え、長崎なんだ!

国保も免許証も同じ住所だ。コーポ因幡102。なんか古臭い名前だ。このアパートであってるのかな?それは外に出れば確認できる。後回しでいい。

あとはスマホだな。「えーと。」とりあえず電話帳には自分と同じ苗字はないな。家族っぽい雰囲気の登録もない。

履歴は…4/20、昨日の日付で同じ番号に何度かかけてるな?だがナンバーだ。登録はされてないということか。あとは…履歴がない?自分で消したのか?でもなんで?

あとは…ラインもあるけど特に履歴はないな。

とりあえずこの番号を検索してみるか?画面上のyahooのショートカットを開いて番号を入力する。「えーと0956-…」

お、あったあった。金属加工工場か。なんだろう?俺の職場か?いや職場なら登録してるよな。じゃあこれから求人に応募?もしくはなにかの依頼か?

とりあえずかけてみるか?と思ったとき、例の子供が小さく呻いた。

と、同時に頭がズキッと痛んだ。怪我のことなどすっかり忘れていた。

いや、待て。これなんかおかしい。生活感のないアパートに子供と二人。しかも頭に怪我してるとか。俺なんかやったのか?

「まさかと思うけど誘拐じゃないよな…」だとしたらおいそれと電話なんかかけられない。どうすればいいんだ?




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