子守の囁き

さて今はもう声も尽きた

無音の唄に 赤子は宙を視る

遠くには波の囀り

梢擦れる波の囀り



白き闇は美しいか

果てもせず

訪う者もなく

ただ在るばかりのそれではあるが

意味もなき程に無垢であれ



やがて白き手が伸びるでせう

それは赤子を抱き上げて

薔薇の頬を軽く啄み

けらりと笑うその子の紅葉手を

柔く摘まんで

己が頬に押し当てて

我が撥条ぜんまいをそっと巻けば

また唄い出す

白き闇に 赤子が微睡む

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る