君のとなり
サカサモリ
第1話 君への独白
つらく切ない青春でした。
自分は、好きになってはいけない人に恋をしました。
その人のことしか好きになれない自分に絶望し、出会ったことを後悔し、何度も何度も離れようと努力をしました。
けれど、それすらできない自分は、親友として、あの人の隣を占領することにしたのです。
一番近くで見るあの人の笑顔に、胸が高鳴り、泣きたくなるほどの幸福感に陶酔していきました。けれど所詮親友は、二人の距離をゼロにすることなんかできなくて、そのことに気づいたとき、自分の心臓は引きちぎられるように悲鳴をあげました。
たとえばあの暑い夏、誰もいない教室で、子どものように笑う君の横顔。一緒に冗談を言って笑いあった。凍えるように寒い冬、肩を寄せ合って歩いた帰り道でも、君はいつも楽しそうに笑っていた。ときどき怒ったり、笑ったり、切なく眉を寄せたり、ひどく優しい顔で自分を見るところも、全部。自分だけのものになればいいと、思っていました。君が悲しみにくれたとき、自分に追い縋って涙を流すその背中に、初めて腕をまわしました。普段の君とは違う、弱々しいその姿に、胸がいっぱいになりました。
いつも君が、隣で笑いかけるから、ときどき勘違いしそうになって、それを必死に隠しながら、3年間。君に、狂おしいほどの恋をしました。
ずっとずっと、君だけが好きでした。
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