魔族とは
“魔族”
“闇の獣”、“人ならざる者”、“新しき者共”、様々な呼び方をされるが、その実態は、光の民と呼ばれるこの世界の人々と変わらない。
彼等もまた、神々の手によって産み出された存在なのだ。
この異世界、“ギャミングステイト”は、楽園の創造を目指して創られた言わば神々の箱庭。
神々はこの異世界に様々な種族を産み出し、多様性と可能性を持たせた。
しかし、その可能性と多様性は、楽園に発展をもたらすだけでなく、それ以上の争いを産み出す事と成る。
幾多居る種族達は、その可能性故に、互いの進歩・発展を妬み合い、それは何時しか戦争へと向かったのだ。
延々と続く発展と衰退の連鎖に、神々は絶望し、そして28の神々の内、13の神々が世界を再生しようと試みた。
神々は、各々の意志の代行者たる“魔王”を産み出し、そしてその手足と成るべき眷族を与え、魔王達に使命を与えた。
『世界を滅ぼし、新たなる楽園の種を植えよ。』と―
「…そして生み出された魔王達と、その眷族を指して魔族と呼ぶ様に成ったのじゃ…。」
ふーむ、よく有る三文ラノベの設定みたいだ。
要は、失敗した世界をリセットする為に生み出された存在の事を指して魔族と呼んでるって事か…。
…ん?
「師匠、質問しても宜しいでしょうか?」
「うむ、構わんぞ。」
そう言った師匠に、俺は疑問を投げ掛ける。
「師匠は、僕の食性は恐らく魔族全般だとおっしゃいましたよね?」
「うむ。」
「だとしたらおかしくないですか?
僕自身が魔族なのに、魔族を食性とするなんて…。」
そこである。
世界をリセットする為の存在同士が殺し合うなんて、どう考えても非効率過ぎる。
まさか、そこも間違って俺を造ったのだろうか…?
「うむ。当然の疑問じゃな。じゃが、シンプルな理由じゃ。」
「と、言いますと?」
「
「…!?」
どう言う事だ…?
世界を滅ぼして世界を再生する為の存在同士なのに、協力関係に無い?
俺が考えていると、師匠は続けた。
「うむ、直ぐに答を聞こうとせず、自分で考えるのは良い事じゃて。
よし、ヒントをやろう。
“目的は同じでも、相容れ無い”と、言う事じゃ。」
“目的は同じでも相容れ無い”…?
どう言う意味だ…?
「…!」
「フム、分かった様じゃな。」
「…魔王達が、各々自分に与えられた使命だから…でしょうか?
こう…それぞれの神に“お前が滅ぼせ”と、命じられたのではないでしょうか。
それならば、自分以外の世界を滅ぼす存在は邪魔者でしか無く、目的は同じでも協力関係には成れません。」
「うむ。正解じゃ。良く分かったのぅ?」
正解だったらしい。
要は、元いた世界のライバル企業同士みたいなものだ。
同じ様な製品やコンテンツを販売しているが、相手側の商品が売れても意味が無い。
魔王達もそういう関係なのだろう。
「魔王達は、それぞれが“世界を滅ぼす可能性”と、“新たなる楽園の種”を宿しておると言われておる。
奴等は自分達の方法で滅ぼし、自身に宿る楽園の種を発芽させる為に動いておるのじゃ。
むしろ、同じ魔王達こそ最も邪魔な存在と言えるのじゃ。」
なんちゅー不毛な…。
でも、そんな存在が13柱も居たら結局世界は滅びるんじゃないか?
魔王達全員が望まない形で。
「師匠、でしたら、どうしてこの世界はまだ滅んでいないのでしょうか?
それ程の存在同士が争い合う世界ならば、どんな形であれ、滅んでいてもおかしくないと思うのですが。」
「それには幾つかの理由があるのぅ。
先ずシンプルに、残り15柱の神々は世界の存続を望んでいると言う点じゃ。」
あ、それ忘れてた。
「次に、魔王同士が牽制し合い、結果としてパワーバランスが取れている点。
そして最後に魔王達は13柱同時には存在出来ないと言う点じゃ。」
「13柱同時には存在出来ない…ですか?
いったい何故…?」
「これに関しては具体的な理由はハッキリしとらん。
他の15の神々が顕現を邪魔しとると言う者も居れば、世界が許容出来る力を越えるからじゃと言う者も居る。
因みに、ワシは後者を信じとる。」
ふーむ、成る程…。
「ですが、それなら何故13柱だと分かったのですか?
13柱が順番に出てきて、倒されてから次の魔王が出現すると言う事なら、同時には存在していない事に成りますが、それなら相当数の魔王は倒されたと言う事に成ると思うのですが。」
「それで正解じゃ。
ただ、魔王は1柱ずつしか存在出来ない訳では無い。最大の13柱同時には存在出来ないと言うだけでな。
今までで、最大で7柱まで同時期に存在していたのは確認されとるんじゃ。
そして、倒された魔王は約150年の周期で再誕する。
今までの歴史で全ての魔王は1度以上は倒されて来ておる。
しかし、13種類以上の魔王は顕現しておらん。
じゃから、13柱と考えられとるんじゃ。」
成る程…って、ちょい待てよ…!
「師匠…再誕って…。」
「そう。
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