多恵ちゃんの妄想レシピ

プリンぽん

第1話 僕の俺の私の多恵ちゃん

 

 俺は竹内宗。48歳のフリーターだ。

 突然の告白で申し訳ないが俺の余命は残り一か月だ。

 病名は聞かないでほしい。とても恥ずかしい病名だ。

 妻も子供もいない天涯孤独の身で、いまさらやりたいことも思いつかない。

 せめて旨いものでも食いたいが貯金もない。だったら妄想。妄想しかない。


 俺は最後の一か月間を妄想することに決めた。決めた。おまえに決めた。

 しかし自分で料理を作る妄想をして、自分で食べる妄想はさすがに空しい。

 どうせ妄想だ。とびっきりの女性にとびっきりの料理を作ってもらう……妄想を。



 だからこそ多恵ちゃんの設定をしっかりせねば。

 あ、すまん。名前はもう決めてあるんだ。童貞をこじらせて妖精を通り越し、キング・ウィザードと化した俺に陽菜ひなとか芽生めいとか七海ななみなんて今風の女の子は太刀打ちできない。キャサリンじゃ洋食ばっかり出てきそうだし、リー紫涵ジファンなら中華になるだろう。やはり基本は和食だ。


 そうと決まったら、多恵ちゃんの設定を決めておこう。(二回言いました)


 身長は150センチ。顔は美人でもないけど可愛い感じ。

 狐っぽいより狸っぽい。ちょいぽちゃ。えくぼか八重歯かどちらか必須。

 胸の大きさはこだわらない。料理に関係ないから。でも笑顔は120点。


 こんなところか。出身は熊本。



 さぁ、多恵ちゃん。

 最後の一か月。

 僕に

 俺に

 私に



 とびっきりの料理を作っておくれ!









 ※ 注意 ※

 以降、料理経験のまったくない男の妄想に付き、レシピはすべてでたらめです。











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