③ <理想の眼鏡男子>

 両親の都合でわたしは水晶町の祖父の家で暮らすことになりました。


 祖父は古書店鷹ノ目を経営しています。祖母はずっと前に他界しており、今は住み込み従業員の【薄型 軽(うすがた けい)】さんと三人で楽しく暮らしています。なんといっても、薄型さんは理想の眼鏡男子なので本当に毎日幸せです。


 薄型さんはわたしが小さな頃から可愛がってくれていて、わたしが本好きになったきっかけをくれたのも薄型さんです。台形を逆さにして丸みを帯びさせた黒の細いメタルフレーム! わたしが一番好きなタイプの眼鏡です。

 初めて会ったときから眼鏡も見た目が全く変わらず年齢も経歴も不詳ですが気にしたことはありません。だって、こんなに素敵な眼鏡男子なんですから!

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