ボッチの日常はどう見ても間違いである。

フクロウ

第1話 平凡な日常?

「ねぇ、お兄ちゃん!ちょっとお願いがあるんだけど。」


台所で夜ご飯を作っている最中皐月が俺の後ろにたちながら頭を下げてきた。


「嫌だ。」


「まだ何もいってないんだけど!?」


妹のこういう時のしおらしい感じはだいたいめんどくさい事をいってくるときだ。


「また、何かほしいとか言う気だろ。今回は諦めろ。」


「ええ~、そこをなんとかさ!ねぇ、お兄ちゃん。」


皐月は服の袖を掴みながら上目遣いでお願いしてくる。


「しつこい、うざい、可愛い。はぁ、わかったからご飯の後でなら聞いてやるよ。」


「お兄ちゃんは皐月に甘すぎだよ?」


リビングのソファーに座っていた筈の水無月がいつの間にか皐月の横に立っていた。


「妹を甘やかせるのはお兄ちゃんの特権だからな!」


「「…チョロい。」」


妹達が何かを呟いた気がしたが、決して聞こえていない。「チョロい」何て妹が言う筈がないのだから。


……………………………………………………


「で、お兄ちゃん!お願いなんだけど。」


片付けが終わり一息ついた瞬間に皐月が向かい側の椅子に座り話しかけてきた。


「それで、欲しいものってなに?ああ、最初に言っとくぞ、千円以上は無理だからな。」


「ッチ!」


ちょっと~皐月ちゃん?お兄ちゃん別に難聴じゃないし、都合のいいときに聞こえないラノベの主人公じゃないのよ?


「欲しいものなんだけど〜その~何て言うか。」


皐月は煮えきらないような言い回しをして話をはぐらかすしている。


「さっさと言えよ。言うだけならタダ何だから。」


「じゃあ!スマホ買って!」


「絶対嫌だ」


「何で即答!?もっと考えてよ!」


立ち上がった皐月は俺の横について体を揺すってお願いしてくる。


「いや、待て。俺にも理由があるんだ。」


「理由ってなに?」


「金がない!」


皐月からため息が聞こえた。


いや、お金がないんだからしょうがないんだよ!?


「そこをどうにかさ~!」


「もしかして欲しい理由は周りが持ってるからとか言うんじゃないだろうな。」


この言葉と同時に皐月は行動を停止した。


図星なのかよ!わっかりやすいな!


「で、でもさ!今時、中学三年になってスマホを持ってない方がおかしいんだよ!」


「家は家、他所は他所だ。」


「それでも~!」


はぁ、今回の皐月は中々諦めないな。ま!いつもなら俺があきらめて買ってやってるんだけどね!


「なぁ、皐月お前は責任をとれるのか?」


皐月は首をかしげて意味がわからないと態度で示してきた。


「そもそも、スマホが普及し出して誰でも簡単に持てる時代になった。けどな、普及するってことは同時にリスクも増えるってことだ。」


「リスクって?」


「例えばだが。最近よくニュースとかでSNSのことで騒がれてるだろ?」


「確かに!」


皐月は大きく頷き理解を示してくれた。


「だろ?しかも、かなり身近にだ。ラインなんかでのいじめとか出会い系サイトに嵌まって誘拐されたとかな。」


「う、確かに……。でもでも、私がするとは限らないし!と言うか、しないし!」


「あ~そう言う私は絶対ないとか、しないとかの押し売り詐欺はもう聞きあきたから。」


ホントに最近の若いやつと来たら、俺は絶対にしないとか、俺は大丈夫とか言うくせに直ぐに考えが変わりやがる。と、言っても…俺もその若いやつの一人なんですけどね!


「押し売りじゃないし!詐欺なんてしないし!」


「それにな、俺は中学生にスマホなんて持たせるべきじゃないと思ってるんだよ。だって、現にスマホのせいで自殺してる中学生だっているんだから。」


そう、いじめが学校だけではなく、家の中ですらSNSのせいでいじめのゾーン何だから。


そもそも、このいじめに対してスマホを持たせた親だって共犯者である。確かにいじめに関しては学校側が気づかない事に対して意義申してたてすることに関しては俺も賛成だ。


しかし、スマホのSNSが関係してる場合はまた違ってくる。このいじめに関しては一概に学校側の責任とは言えないと思う。


スマホを持たすのは結局のところ親が決めることであって、学校側ではない。それをスマホのいじめのせいで子供が傷ついた何て言われたらたまったもんじゃない。


そもそも、スマホを持たせた親がSNSのいじめに対して気づかないのも問題ものだ。


「皐月、お前はまだ、中学生何だから無理して周りと会わせてスマホ何て持つ必要ないんだぞ?それに、お前の中学でもいるだろ、スマホのせいで何かあったやつ。」


「ま、まぁ、いないこともないかな…。」


「なら、余計に知ってるだろ?スマホを持ってたって今のお前たちじゃ、ろくなことにならないよ。」


「はぁ、わかったよ。諦めればいいんでしょ。」


皐月は肩をすくめ、残念そうに椅子からたった。


「お風呂入ってくる。」


そう言うと皐月はリビングのドアを開けて風呂場に向かった。その数十秒後にまたリビングのドアが開いた。


「……ねぇ、お兄ちゃん。さっき皐月が風呂場に来たんだけど、何か凄く残念そうにしてたんだけど?」


「あ、ご飯を作ってるときに何か欲しいものあるって言ってただろ?その話をちょっとな。」


「ふぅーん、ま!どうでもいいけどね。あ!そうだ!」


何かを思い出した水無月はテレビへと走り出した。


「お兄ちゃん、お兄ちゃん!久しぶりにゲームやろ!」


「え~、めんどくさいんですが。」


「そんなこと言わないでやろうよ!」


水無月は無理やりコントローラーを渡してゲームの電源をつけた。


「……まだ、やるなんていってないんですけどね。」


水無月も、水無月でかなり強引だよな。


「ま!でも、たまには付き合ってやるかな。」


俺は思い腰を上げてリビングのソファーの方に座り直した。そこからはある程度の時間まで妹達とゲームをして就寝した。


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