魔女と獣と

@now0613

第1話


僕はいつも独りだった。

今日は雨、今でもこんな日はなぜか寂しく心細くなる。

親は僕を嫌い、8歳になったある日出かけた先に僕を置いて行方をくらました。

そして僕を拾ってくれる人はいるはずがなかった。

なぜなら僕は人にとって異形の存在だから…。

言うならば、僕は人だけど心がない…。

僕は生まれてから褒められたこともなければ、抱きしめられ、人のぬくもりを感じたこともない。

それが原因かはわからないが心はなくなり人ではなく獣に近くなってしまった。

心が獣の人となってしまった。

僕は、親に捨てられてから昼間は町で盗みをして生き、夜は町の外の湖のほとりで寝るというような生活を12歳までしていた。

そして、あの日、僕は彼女に会った。

彼女はとてもきれいな…いや、妖艶な美女だった。

そして彼女は僕に言った。

「あら、あなたも一人なのね。どう私と一緒に来ない?あなたとならきっと素敵な日が送れるわ」

「お姉さんは僕を無視しないんだね」

「なんで君を無視しないといけないの?そんなにつらいと思っているのに…私にはできないわ。どう?私とこない?いえ、来なさい」

「うん、ありがとう」

「君、名前は?」

「僕に名前はないよ。僕を捨てた人たちは僕を呼ぶことなんてなかったから」

「そう、じゃあ今日からあなたは時雨と名乗りなさい。時雨の時はいつかこのことを忘れられるように、そして雨は雨の日に出会ったから時雨。どうかしら」

「ありがとう、お姉さん。」


***********************


時は流れた。

しかし最近は魔女狩りが活発になってきたので僕は魔女のお姉さんと山奥の小屋に身を潜めていた。

しかし、僕が起きると魔女のお姉さんの姿はなかった。

「お姉さん…どこ?」

その時、ドアが開き彼女が帰ってきた。

「お姉さん、どこに行っていたのですか?心配したんですよ」

「私のこと心配してくれたの?可愛いわね。でも大丈夫よ。ちょっと月の光を浴びていただけだから安心しなさい」

「はい」


そしてその日から彼女は毎晩どこかへ出かけているようだった。

帰ってきてから僕にはいつも「月の光を浴びていた」といった。


それから数日のうち、魔女狩りを行っている集団に隠れ家がばれてしまい、彼女と僕は縛られ、町に連行された。

そして、2日間、牢屋につながれた。

「時雨、私のせいでこんなことになってしまってごめんなさい」

「何言っているの?お姉さんは今まで僕のことを育ててくれたし時雨っていうとてもいい名前くれたんだから謝る必要はないよ」

「ありがとう、やさしい子ね。最近やっていたことあなたには伝えておかないといけないわね。私は最近出かけるたびにあの日あなたを拾った湖のほとりにある小屋にあなたに挙げるつもりだったものをすべて隠していたの。」

「時間だ。処刑人を思わせる服装の男が二人を連れ出し、火にかける準備をした」

彼女と僕をとぐろを巻く蛇のように炎が取り巻いた。

「時雨、あなただけは生きなさい。私は人を殺しすぎた…だからあなたは清く生きなさい」

彼女は耳元でそういうと僕を魔法で作り出した風に乗せ逃がした。

「お姉さーーーん!」

僕は風に乗っている最中ずっと叫んだ。

そして僕は湖のほとりに広がっっている乾ききった血を目の当たりにする。

「これがお姉さんの罪…」

そして小屋で様々なお姉さんの感情を知った。

そして真実を知っても僕は涙を流した。

「僕がお姉さんの罪を償うから心配しないでね」


*********

数年後、僕は彼女から受け継いだ書物で薬品の作り方を学び作った薬で町の人々を救っていた。

「時雨君、一人であなたは偉いね。ちゃんとしているね。今日もいつものをお願い」

「はいわかりました。これですね。腰痛に聞く薬です。僕、ちゃんとなんてしてませんよ彼女が僕を動かしているんです」

「彼女…?あぁ君のお姉さまだったね。頑張る動機は何でもいいと思うよ」

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