第3章-7 やっぱり俺に管理職は無理みたい
「申し訳ございませんでした」
大部屋を出てすぐに姉が全力で謝ってきた。
正直、俺に一番責任があると思う。姉の人となり、と言うか姉の価値観を知らないのに俺の価値観を押し付けた。それでも謝れる姉は大人だ。
「いや、ほかの鉱山ではこんな感じなんだよね。俺が知らなかったのが悪い、ごめんね」
自分のミスに気がついてすぐに直せない時って、緊張と気まずさと恐怖とで嫌な気分になる。そんな状態に持ち込ませて本当に申し訳ない。
仕事あげて頑張る機会を与えないと。
「早速で悪いけど次の仕事ね。名札を作りたいから適当に材料を調達しておいて。あとナルと相談しながら、労働者の中で元建築関係の人をピックアップしておいて」
姉は返事をすると走ってどっかに行ってしまった。多分ナルのところに。お金を渡す前に。
お金持って無いけど、どうやって材料を買うのか。
姉に仕事を押し付けたら、俺のやることがなくなってしまった。
暇だしナルのところにでも行ってみるか。
「何かあったのかにゃ。こっちの仕事は一旦後回しにして、トーゴとその周りの人について調べてたにゃ」
まぁ休日に人数確認なんて、俺の指示が悪かった。そこで鉱山の主要人物を探ると言う、やってほしかったことを率先してやってくれてる有能なナルに感謝。
「それは助かる。ところでランはこっちに来なかった」
「ん?ランは来てないにゃ」
あれ、お金も無し、ナルのところにも来なくて何してるんだろ。まぁなにか頑張ってるんだろ。
「ナルのところに来たら手伝ってあげて。あと、お金もいるはずだから必要そうだったら渡してあげて。せいぜい金貨1枚だと思うから」
ナルには仕事用の財布を渡してある。あと金貨5枚は入っているはずだ。
「もう金貨1枚もないにゃ。三姉妹身の回りの物を揃えたらすっからかんにゃ」
俺の知らん間にそんなこともしてくれてたのか。俺がしてないことが問題だけど。
「それはありがと。とりあえず5枚渡しとくけど、今あまりお金ないから大きな買い物は相談してくれ」
「了解にゃ」と。とてもいい返事をして仕事に戻った。
が、俺も暇なのでナルの手伝いをしながら、労働者の雰囲気を確認することにした。
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