第2章-8 何でもかんでも金で解決
「クオイツに向かうよ」
この世界に最大乗車人数なんてものは無いが俺、ナル、3姉妹の他に護衛のマッチョ2人を乗せ切れるスペースはないため護衛は馬だ。貸馬を借りてきてもらった。
よってこの車はとても女の子だらけでなんとも居心地が良いような悪いような。アレである。
「出発にゃー」
まだ緊張気味な3姉妹を解すためにナルは少し無理にエネルギッシュだ。
ロリが足をバタつかせているからそろそろ話せそうだ。
帰りの運転手は俺にした。ナルにはもっと3姉妹と仲良くなってもらおう。
クオイツに向かうと約1時間。馬がバテてきたので近くの村に寄る。
馬での高速移動は結構大変なことで馬を潰さないように長距離移動することは難しい。
そこで先輩方は金に物を言わせ馬を何度も借りるという新技を好んで使う。
「すいません。この村に貸馬はありますか」
村の入口近くにいた第一村人に尋ねるととても丁寧に場所を教えてくれた。
「すいません。馬を借りたいんですけど」
「あぁあるぞ。1頭1日銀貨40枚だ」
4、50代のおっさんは馬にブラッシングをしながらこっちも見ずにいう。
「2頭を2日借りたい。あとこの2頭をノルマンディ領まで返しておいてほしい」
おっさんはこっちをチラっとみる。前がM字に禿げていた。
「いつまでだ」
「2日以内に」
「俺の馬で銀貨160枚。お前の馬で銀貨40枚」
銀貨40枚は絶対にぼられてるが値切るのも面倒なので金貨を2枚を渡す。
マッチョに好きな2頭を選んでもらう。
こんなことを3回繰り返してクオイツまでもどった。4時間弱の移動で俺を含め皆疲弊している。
「お疲れ様。早速で悪いけど奴隷紋を剥がしてもらったら夕飯にしよう」
明日にまたグラフルのところへ行くのでナルはその準備をしてもらう。働かせすぎてごめんよ。
この奴隷店はいつも賑わっていて、従業員も何十人といる。店に入ると従業員がすぐに話しかけてくる。
「本日はどのようなご用件でしょうか」
「この子たちの紋を剥がしてほしい」
店員は3姉妹を見て
「1人金貨1枚です。3人で金貨3枚となります」
相場なんて知らないのでよろしく、と返す。
店員が3人を奥に連れていく。奴隷紋をかける、剥がすは人に見られたくないらしい。
「すいませんお客様。こちらの奴隷はあなたの紋では無いようですが」
グラフルの羊皮紙を出し忘れていた。
丁寧に聞いてくるようでゴツい警備員みたいな人が剣に手をかけて見ている。
「申し訳ない。これを忘れてました」
警備員を見て見ぬ振りをして羊皮紙を出す。
店員が確認して頷くと警備員はそっと離れていった。
怖かった。
「あなたの紋を入れ直しますか。1人金貨1枚ですよ」
「いいえ、入れなくて結構です」
3人とも肩の紋が剥がれた事を確認して金貨3枚を払う。そんなこんなで冷やっとした奴隷紋剥がしは終わった。
3姉妹は晴れて自由の身となった。顔に出して喜んでるのはロリだけに見えた。
「服を買いに行こうか」
ナルがいないと事務的になりがちだがここは俺が頑張らないといけない。姉も「私は結構です」と断らなくなってきた。だからって全部「はい」で返されても困るが。
中央の高級服屋に入る。帰属の服に既製品は少なくオーダーメイドが主流のためだ。
俺たちが店に入ると少し嫌な顔をされた。奴隷とは言えボロっちい服で入るような店ではない。
冷やかしにでも見えたのかもしれない。
それでも店員が寄ってきて「何をお求めでしょうか」と接客してくるのは流石は高級店。
「この子たちに一通りの服と下着を、全部3着ずつ。」
金貨の詰まった袋を出す。金でものを言わせるのは気持ちがいい。
店員が目の前で金貨を数えて
「これでしたら2着ずつくらいですね」
金貨は200枚入ってたはずなんだが、、、
これで引いたら恥ずかしいのでもう一袋出した。
店員は満足した表情で3姉妹を奥に連れていく。
俺らだけで金貨を400枚か。この店すごい儲けてそうだな。と言うか服だけで奴隷が買える。
「こんな感じでいかがでしょう」
3人とも整った顔をしているがそこに綺麗な服を着るともう貴族の令嬢のようだ。とてもよい。 よい。
「とてもよく似合ってる。いい感じ」
「他のお召し物もご覧になりますか」
これだけ見れば満足した。
「いや、わざわざ着替えさせなくていいよ」
「かしこまりました。別のお召し物は包みに入れてお持ちします」
一般的な商人の10年分以上を俺達だけで払っている。もうなんというか金銭感覚なんてあってないようなもんだな。仕入れ値ってどれくらいなんだろ。
服を車に積み込んでサクラサケにもどる。
ナルを回収し、服を部屋に運び込んで財布にお金も補充した。
「何か食べたいものある?」
姉妹に向かって尋ねるが、やはり姉が「私たちは何でも食べさせてもらえるだけで十分です」と断る。
「ユウ様違うにゃ。一人一人に聞くのにゃ」
耳打ちで叱られた。しかもため息もつかれた。
「シオンちゃんは好きな食べ物ないのかにゃ」
シオンは姉の顔を少しみて「り、りんご」と応える。
「りんご、いいにゃー。リロちゃんは何が好きにゃ」
「私はお肉が好きです」
「それで、ランは何が好きなのかにゃ」
「わ、私も果物が好きです」
俺が上手く聞けなくて困っていたのにナルは一瞬で聞き出した。すごい。
「にゃあユウ様。なんで車に乗ってるのにゃ。サクラサケの食堂じゃあダメなのかにゃ」
ナルが耳打ちて聞いてくる。食堂のこと忘れていました。もう、俺、いらんくね。無能すぎ。
「あとあんな服じゃ過ごしにくいにゃ。普段着を先に買うべきだったにゃ」
そういえばよそ行きの服しか買ってない。
話にならないな。ほんと。
「ごめん、そこの食堂にしようか」
車を車庫に入れて(恥ずかしいから自分で)食堂に入る。
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