猫人小伝妙
今村広樹
あわせ鏡
例えば、ある独裁者と喜劇役者が、4日違いの同い年で、風貌も似ていたり(チョビ髭)、好きだけどあんまりしらない書き手が一緒(ショーペンハウアー。喜劇役者は晩年まで主著を読んだことがなく、独裁者は綴りすら間違えていた)だとしても、それは
この時代の将棋は、広まっていたものの、
秀忠は、父である
「また、将棋にゃんてにゃってるのか」
と、腹をポンポンさせながら言うのを聞いて
「うにゃ~、将棋だっておもしろいにゃ!」
とくやしがっていた。
そんなある日、町一番将棋が巧いということで、呼ばれた猫が、秀忠のいる屋敷にやってきた。
彼を見て、応接した秀忠の小姓は
「なんか、大殿様(家康のこと)にそっくりだにゃあ」
と、笑いともなんともつかない妙な表情になった。
家康は、猫のくせにずんぐりむっくりの、タイコ腹で
「まるで猫というより、狸だにゃ」
と、言われていたが、それと寸分違わぬ猫が来たとなれば、そんな顔にもなるだろう。
当の呼ばれた猫は、別段そんな扱いにも慣れた様子で
「なんにゃ、家康公とは儂にそんなににてるにゃか」
と、一人言を呟いた。
「それで、お前のにゃはなんと申す?」
と、聞かれた猫は、慌てて答えた。
「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます