ある失策について

左川 久太郎

_

_


 失敗すること、やりそこなうこと。私がこの場を借りて語りたいのは、このような“失策”についてである。(ここでは、“語”るよりも“書く”と表現するのが正しかったか。そして、この“書く”も正確には“書き記す”だろう。ただ、己の記憶を記録として残そうと筆を握っているのだから。勿論、実際には“筆”なんか握っていないわけで......)


 さて、私が書き記したいのは、先に書いたようなダラダラとした“失策”ではないことを断っておく。では、何を記録するのか。それは、ある「物語の主人公」についてのお話だ。おっと、その主人公とは、この私のことを指してはいないよ。……


彼(その人物は男性だ)の名は、加藤という。彼は私の友人の一人である。少なくとも、私の認識では、と注釈をつける必要があるのだがね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る