第13話 危険

今日は休日、アライさんといつも通りの散歩。

今日は別の道を歩いてみようと、ビルが並ぶ道を歩く。

ザワ…ザワ…と音がするので、そっちの方向に行ってみることにした。

「アライさん、あっちで何か起こってるらしいよ、行ってみよう!」

「メイ!?いきなり走るな!なのだ!」





そこはビルの前だった。

ビルの3階から悲鳴が聞こえる。

バァン!という音が響いた。

威嚇射撃か?

こんなところで強盗に遭遇するとは。

テレビでしか見たことなかった…

一体何を盗みに来たのだろうか?

警察はまだ来ていないようだ。

「メイ、あそこで何が起こっているのだ?」

アライさんが3階を指さしながら言う。

「知らない方がいい…。」

「え?」

「行こう…アライさん…。」

「わ、分かったのだ!」

その時。

「私、見てられない!助けに行かなくちゃ!」

そう聞こえた直後、声の主だろうか、高く飛び上がる者がいた。

「おい!危ないぞ!」

「お前まで捕まってもいいのか!?」

彼女は見たところフレンズ…かな?

こんなところで見てはいられない。

「アライさん、そこで待ってて!絶対に来ないでね!危険だから!危ないから!」

「メ、メイ!?」





早くしないとあのフレンズが危ない!

くそ、この階段微妙に長い!

俺は走る。

フレンズ、そして捕まってると思われる人質を救い出すため。

「うぉぉぉぉぉぉぉ!」





空いてた窓から突然訪問者がやってきた。

「何を…やっているの…?」

「お前こそ、突然やってきて何をしている!」

手には黒光りする筒のようなもの。

何あれ…分からないけど、すごく怖い。

体の震えが止まらない。

「お前、フレンズか!はっ!フレンズだろうと誰だろうといい!死ね!」

バァン!

「危ない!」

咄嗟にメイはフレンズを押しのける。

「グッ!」

「キャア!」という悲鳴が聞こえる。

左腕が撃たれたようだ。

撃たれた場所から血が流れる。

自分の体など心配する時間はない。

「おい…その人達を放せ…。」

「来るんじゃねぇ!また撃つぞ!今度は心臓を1発だ!」





私に出来ることは何も無いの?

いや、きっとある!

何か探さないと!えーと、えーと…

あった!この赤い…なんだろー、これ?

ちょっと重いや…。

「えい!」

赤い物体は宙を舞い、床と激突した。

その赤い物体…消火器は、もう古かったのだろうか。

何故か交換もされずにそこに置いてあった消火器は外もボロボロだったのだろう。

砕け散り、白い粉が舞い散った。

「なんだ!何も見えない!」





あのフレンズのお陰でチャンスができた!

今の内に強盗を…倒す!

「ウオラァァァァァァ!」

相手の右腕を殴り、銃を落とす。

「やりやがったな!コノヤロウ!」

手には光るもの…ナイフだ。

「っ!」

斬撃を咄嗟に避ける。

俺の体は軽い。

いつもよりも素早く動ける気がする。いや、動けている。

そして俺は爪で強盗の腹を狙う。

「はっ!そんな弱っちい攻撃は通じねぇよ!バーカ!」

強盗はナイフで俺の右腕を刺そうとする。

反射的に俺はそのナイフをもう片方の手で弾く。

そして爪は腹に食いこむ…

「ガッ!」

強盗はあまりのダメージに倒れ込んでしまった!

そんなに強かったのか…?

「そこの君!縄を解いてくれ!」

「わ、わかったよ!」

「うみゃみゃみゃみゃみゃみゃー!」という声が聞こえる中俺は壁に寄りかかる。

なんだかとても疲れた…。

貧血か?そうだ、俺1回撃たれているんだ…。

同時に、痛みも思い出してしまった。

あまりの痛さに気を失った。

「アライさん…。ごめんね…。」





目が覚めると、俺はビルの1階にいた。

「起きたのだ!」

「良かったよ~、メイさ~ん。」

「2人とも、なんで…。」

「あなた、倒れちゃったんだよ?本当に心配したんだから!」

どうやら俺はここまで運び込まれたらしい。

そういえば左腕は…?

左腕を見て俺は驚く。

何故だろうか、俺の左腕の傷は完治していた。

痛みもない。

「そういえば君、名前は?」

「私はサーバル!あなたは何のフレンズ?」

「俺はフレンズじゃないよ…。ただの人間。」

「え~?フレンズだと思ったのにな~?おかしいな~。」

俺ってそんなにフレンズに見えるか?

「俺はメイ。さっきはありがとう。」

「大したことはしてないよ~!メイちゃん!」

完全に女の子だと思われてますねこれは…





「アライさん、さっきは心配かけてごめんね?」

「アライさん、ずっとメイを信じて待ってたのだ!中から人が出てきて、男の人が助けてくれたって言ったのだ!フェネックも来たから、メイを迎えに行ったのだ!それから、それから…。」

「そうだったんだ…。長い間待たせて、ごめんね?」

「大丈夫なのだ!」

俺はこの笑顔を守りたい。

フレンズの笑顔を。

アライさんの笑顔を。

でも、あまり無茶すると、この笑顔が曇ってしまう…。

「たまにはほどほどに休むよ。」

「ならアライさんがハンバーグを作るのだ!」

「本当に出来るの~?まだ作ったことないでしょ?」

「ムム~、アライさんは出来るのだ!」

そんな会話をしながら、家に戻っていく。

今日も日は沈み、月が顔を出す。

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