ひまわり畑に僕と君がいた

新城 零

プロローグ

プロローグ

 またあの夢か――。


 最近同じ夢を見るようになった。


 ある夏の日の地平線の彼方までずっと広がっているひまわり畑。

 

 そこに居たのは俺と、白いワンピースを着、白い帽子を被った透き通るような肌の少女。

 俺と彼女はひまわりを隔てて向き合っていた。

 彼女の顔はよく見えなかった。

 彼女に話しかけようとしたが、そこで夢は終わってしまう。

 

 しかしその夢はどことなく夢では無い気がしていた。いや、夢の見過ぎでそうなったのだろうか。

 

 あの一面ひまわりで埋め尽くされた場所、白いワンピースを着た少女。見覚えがある気がした。だがそこはどこで、誰なのかはわからない。

 

 心当たりは全くない。今まで彼女なんて出来たこともないし、女子と遊んだことも無いし、母親が白いワンピースを着ていたわけでもなさそうだし。あのひまわり畑だって、自分は人生で一回もひまわり畑なんぞに行ったことは無いし、行った話を親から聞いたことも無い。

 

 やはり夢の見過ぎであろうか――。

 

 ただ、なんとなく思っていることは、「近々、彼女に会うかもしれない。」という事であった。

 

 

 高校生最初の夏休み――。

 俺は車に揺られながら外を見ていた。トンネルを抜けていくごとに田舎になっていくのがわかる。

 そもそもなぜ俺がこの状態にあるのかというと、夏休み前まで遡らなければならない。


 



 

 

 

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