第10話

 車内で暴れる凛をなんとか落ち着かせしばらく車を走らせ、源治達は件の帆船が出現するという湖にたどり着いた。


 源治達は、源治が事前に取っておいた湖に比較的近い宿にチェックインし源治は一人部屋、凛と菫はセットで二人部屋といった風に一旦別れればまずは全員源治の部屋に集まり今後の方針を話し合うこととした。


 「まずは、例の湖とやらに行ってみるか。帆船が出るのは夜でも昼に行けばなんかあるかもだしな」


 「うん、それには賛成。もしかしたら何か手がかりがあるかもしれないし」


 「私MO行こウ、こういった珍しい事例は実際に見聞しないとNE」


 「なら決まりだな。水着、持ってるだろ?ついでにひと泳ぎしてこいよ」


 「無論DA」


 「まあ・・・持ってるけど・・・」


 「善は急げだ、早速行くぞ」


 源治、凛、菫の三人は、外出用の手荷物だけを纏めると徒歩で湖へと向かった。湖へ着くと今回の怪奇現象で人が寄り付かなくなったのか、人の姿は全く見られなかった。


 「人がいねぇんじゃ聞きようがねえな。しゃあねえから、件の海賊船とやらの出現地点に行くぞ」


 「では、私たちHA着替えてくるヨ」


 「絶っ対、覗かないでよね!」


 「ハイハイワカッテマスヨー」


 凛の警告を受け流せば源治は手漕ぎボートをレンタルし凛たちを待つことにした。服装は長袖のアロハシャツにアロハ柄の半ズボンで、完全に調査は凛任せにしようとしていることが伺える。


 タバコを一本吸い終える頃、凛たちが戻ってきた。


 凛は機能性を重視したのか紺色の競泳用水着を着ており髪は後ろで束ねてポニーテールにしている。菫の方はというと、上下虹色のビキニを着ておりその女性的な体つきを惜しげもなく披露している。水着に着替えたことにより、その女性的な体つきが惜しげも無く晒されている。


 「・・・なんて凹凸がひどいコンビだ、これが胸囲の格差社会ってやつか」


 「うっさい!あんたこそその格好、遊ぶ気満々じゃない」


 「俺はいいんだよ、お前らのお目付役兼バックアップなんだから。まあ、お前らに何かあったら助けるさ。ま、頑張ってちょうだい。もし溺れたりやばいことがあったらこれを上に向かって撃つように」


 二人を乗せて湖の中ほどまで漕ぎ出せば、源治は信号弾の装填された拳銃を凛に渡し、それを受け取った凛は渋々といった風体でゴーグルを掛け早速湖へ飛び込んでいった。それを見ていると後ろから菫が話しけかてくる。


 「随分と入れ込んでいるナ「狂っタ死神」とまで言われた男GA随分と丸くなったものDA。」


 「うっせえな、そんな昔のことなんて蒸し返すんじゃねえよ。・・・つーか、お前も頑張んだよ!何のためにその爆乳晒す格好してんだ!」


 そう言うと源治は菫を湖に放り投げた。


「酷いナ、何も投げることはないじゃないKA」


放り投げられた菫は着水すれば、そう言うと懐中電灯の電源を入れ凛に続いて湖へ潜っていった。


 凛達が湖に潜って数分後凛と菫はほぼ同時に湖から顔を出したがなぜか菫が凛にその巨大な胸を揉まれ顔を赤くしながら浮上してきていた。


 「・・・まぁ俺は個人の嗜好に口は出さねえけどよ。人目があるかもしれない場所でそう言うのはちょっとどうかと思うなー俺は」


 「!?これはっ!違っ!この人が私の体触ってくるから仕返しに・・・とにかく私はノーマルだから!」


 「酷いじゃないカ・・・いきなり水中でうまく身動きができないところヲ、メチャクチャNI・・・私の体を弄って・・・あんっ!、胸は弱いんダ・・・ここだと源治が見てRU・・・続きハ・・・部屋でしてくRE、もっとも凛君に見られながらする趣味があれば従うガ・・・んんっ!」


 「あー・・・取り敢えず、上がって状況を報告してくれ。その後は、おじさん何も言わないから。内でも外でも好きにやってくれ」



 菫の水着に手を入れたままの凛とそれに悶える菫、この二人を一旦ボートに上がるように言えば、二人が落ち着いた頃合いを見て話を始める。


 「とりあえず見てきたけど、底に沈没船が一隻沈んでたよ。多分あれが噂の帆船だと思う」


 「写真も取ってきたZO、名前は・・・HMM、「Flying Dutcman」フライング・ダッチマン号と読めるナ。有名な幽霊船DA」


 「ファッ!?」


 「どうしたの?もしかして怖いの?」


 「ばばばばばバーカ野郎、幽霊なんざ指先一つでダウンだっちゅーんだよ」


 「そういえBA、君はホラー映画だけは見ようとしなかったナ」


 「だまらっしゃい! 原因はわかったんだ、とりあえず宿に帰ってその件のボロ船をどうするか決めるぞ!」


 ニヤニヤと自分を見てくる凛と菫との会話を無理やり打ち切った源治は行きよりもその手に握るオールに力を込めて行きよりも凛に寄り添おうとする菫とそれを押し退けようとする凛と共に陸へと帰っていった。

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