オートハートに余命宣告

おうごんとう

プロローグ 煙と錆の街

「げほ、ごほごほっ!」


 なんだ、ここ。空気汚れすぎだろ。あとサビ臭い。

 よく分からないけど、俺はどこかの路地裏に居た。建物の隙間から見える空は分厚そうな雲に覆われていて、昼っぽいのに日光が全く見えない。

 おれ、何してたんだっけ。確か、学校の帰りに駅のホームで――

 そこまで考えて路地裏を出たとき、目の前に来た人にぶつかった。


「んぶっ!」

「おい、気ぃつけろよ」

「すいませ」

 

 妙に固いと思ったら、その男の左腕は金属で出来ていた。ついでに、足も。


「んっ?」


 そこで初めて街の様子が目に入った。

 市場のおばさん、袋を担いだ男、杖をつく老人、走り回る子供。金属製の機械で出来た、彼らの足、腕、指先、眼球!

 俺の知ってる形を完全になしている人間はいなかった。1人も。


「どこだ、ここ」

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