第5話 四大元素の妖精さん

 皆さんは、四大元素ってご存知でしょうか?

 世界を構築する概念である、火・風・水・土、この四つを指して四大元素と言います。


 何でこんな事を言ってるのか?

 何故なら居るんですよ、ちゃんと四種類の妖精さんは。

 でもね、役立つかと問われると、微妙としか言えません。


 見た目はとっても可愛いですよ。

 火や水等の形をデフォルメさせた姿で、ふわふわ飛び回る姿は癒されます。

 癒しパワーは、ゆるキャラなんて目じゃないです。

 但し、四大元素と言われるだけあって、特化した能力を持つこの子達は、力が凄く強いんです。


 例えば火の妖精さん。

 火と言えば、熱く燃え盛るイメージをすると思います。

 実際に火の妖精さんは、ひたすら燃やす事に情熱を傾け、消す事なんか考えて居ません。

 一歩間違えれば、放火魔確定です。ブタ箱入りです。


 そもそも、日常的に火を使う事って有ります?

 私の自宅は賃貸アパートで、台所はIHだし、ストーブ禁止だし、お風呂はガスだし。

 火を使うのは、キャンプ場に行った時くらいです。


 部屋に一人居てくれるだけで、暖かいので冬は重宝しますけど。

 燃やすジャンキーな火の妖精さんに、何もするなって言えば多分グレますね。

 自棄を起こして、色々燃やし尽くしますよ。

 私が都内の大規模住宅火災を食い止めている、と言っても過言では無いと思います。


 そんな火の妖精さんの有効的な活躍方法は、今の所有りません。

 誰か他に良い活躍方法が思いついたら、教えてください。

 是非! 是非!


 火の妖精さんと比べ、活躍度が高いのが水の妖精さん。

 この子は凄いです。でも、ちょっとツンデレ気味です。


 皆さん、美味し水を飲みたくなりませんか?

 何処だか産地が良く分からない水じゃ無くて、美味しい水。

 水の妖精さんが出してくれる水は、と~ても美味しいです。


 水は生活のあらゆる場面で使用します。お風呂、おトイレ、洗濯、料理。

 これが全て水の妖精さんが、出してくれるとしたら、どう思います?

 私が払ってる水道料金は、基本料だけですね。エコって言うよりも、へそくりが貯まります。


 一番助かるのは何と言っても、火の妖精さんを静かにさせてくれる事です。

 今日は何だか燃やしたい気分! と宣う火の妖精さんのやる気を、ジュっと消してくれます。

 なので、だいたい何時も部屋の中で、鬼ごっこしてます。

 勿論、鬼は水の妖精さん。フンって顔しながら、火の妖精さんを追いかけます。

 まぁ何だかんだで、二人共楽しそうなので良いんですけど、見てるだけなら癒されますし。


 二人の妖精さんが鬼ごっこしてるおかげで、私の部屋は蒸気が充満し、冬でも乾燥しらず。

 でも夏は困ります! 夏に鬼ごっこされると、部屋の中がサウナになるんですよ。

 湿気やカビ所の騒ぎじゃ有りませんよ!


 そんな時に活躍するのが、偉い子その二、風の妖精さん。

 窓さえ開けておけば、蒸し暑い蒸気を外に出して、涼しい風を送ってくれる。

 まさに天然エアコンです。

 マイナスイオンとか、きっと沢山出してるんじゃないでしょうか?


 風の妖精さんの活躍は、その位かな?

 でも、部屋の温度管理に大活躍な、風の妖精さんのおかげで、電気代の節約になってるのかもしれません。


「あんたの部屋って、何時来ても快適よね」


 裕子ちゃんのお墨付きです。


 後一人足り無くないって?

 わかってますよ。土の妖精さんでしょ!

 土の妖精さんは、私の自宅内には居ません。むしろ、出禁です。


 当たり前かもしれませんけど、土の妖精は土の中に居るのが幸せみたいです。

 休みの日に近所の広場に行くと、ヒョコっと土の中から顔を出します。

 何かするって程では無いんですけど、一緒に遊びます。


 そう言えば、この間作った泥団子は、宝石みたいに光る泥団子になりました。

 裕子ちゃんに見せたら、「良い歳して、馬鹿なの?」と言われました。


「そんな事を平気で言うから、裕子ちゃんの所に妖精さんが現れないんだよ」


 そんなこんなの四大元素の妖精さん達。

 何だよ便利じゃん、文句言うなよって?


 甘いですね!

 妖精さん達に言う事を聞いて貰うのは、苦労するんですよ。

 絶対に放置をし過ぎてはいけません!

 放置し続けると、火の妖精さんは自棄を起こすし、水の妖精さんはデレが無くなってツンのみになるし、風の妖精さんは気ままに何処か行くし。

 土の妖精さんだって、二週間程遊びに行かなかったら、広場を全部砂場に変えてましたよ。


 単体で暴れ出したら、大火事に大洪水等。それを人は災害と呼ぶんです。

 もしタッグを組んで暴れ出したら・・・

 そんなの、人間に制御出来る訳が有りません。


 適度に構って、適度に放置。

 この加減が難しいとだけ言っておきましょう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る