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家につくと、
お母さんがいつものように忙しそうに弟の世話をしていたよ。
「あのね…」
小さな声で話しかけたけど、お母さんは気づかなかった。
「あ!お帰り。手を洗ってうがいしなさい!」
いつもの口調で僕を急かす。
僕は忙しい時のお母さんを、イライラさせてしまう天才だから。
怒られないように、急いで手を洗ってうがいをしたよ。
「あぁ!もう!なんでこんなにビチョビチョにするのあなたは!
ほらほら!早く着替えなさい!」
気をつけていたのに、洋服を濡らしてしまった。
忙しそうにお母さんは着替えの服を出してくれて、
弟と僕のおやつを準備してくれた。
「おやつを食べたら遊びに行くんでしょ?」
お母さんに訊かれても答えなかった。
「聞こえてる?返事は?」
お母さんがちょっと怒ったような大きな声で言った。
僕は
「今日は遊びに行かないよ」
一言だけ言って、テレビをみている振りをしたんだ。
だって先生から電話がくるかもしれない。
以前
僕が友達と喧嘩したとき、
先生から電話があって
お母さんが
「申し訳ありません。ご迷惑をおかけいたしました。」
と何度も何度も謝っていた。
今日友達と喧嘩しちゃったよ。
先生にまた怒られたよ。
僕は友達がズルをしたから、
注意したら怒って叩いてきて、
だから喧嘩になっちゃったんだよ。
お母さんに話そうとしたその時に…
先生から電話がかかってきちゃったんだ。
電話が終わって、
お母さんが怒鳴る口調で言ったよ。
「なんでそんな事したの?
もぅ!恥ずかしいじゃない!先生から電話がくるなんて!」
僕は何も言えなくなってしまった。
お母さんは
「理由を答えなさい!」
と怒鳴ったけど
何も言えなくなってしまったんだよ。
そして思ったんだ。
僕はお母さんを悲しませるだけの子供だ。
僕がこの家族に生まれてこなければ、
この家はもっと幸せだったんじゃないかな…ってね。
だけど
僕はお母さんが大好き。
お父さんも弟も大好き。
大好きなのに…。
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