グッドラックマイライフ!
あじろう
ボーイミーツガール1
昔から後悔してばかりだった。
せっかく親が付けてくれた
大学を卒業し就職のために故郷である京都から東京に出てきた23歳独身彼女いない歴史2年。
なんともぱっとしない男、それが僕である。
大学時代はそれなりに楽しかった。
軽音サークルに所属し、今でも仲のいい友達は出来たし彼女がいた時もあった。
しかし今現在、これだと明確にできるものはないが後悔の念が心に住み着いている。
あの時もっと努力をしていれば、タイミングがよければ。「たら、れば」などという言葉は無限に出てくる。元来人はそういう生き物であり、それを乗り切った人がきっと一流と呼ばれる人なのだろうと僕は思うわけだ。
大学を卒業して4月になって2週間が経った。僕は今アパレル会社で販売員をしている。
普段は仕事を終え、21時ごろに帰宅するのだが今日は色々と予定を済ましているうちに0時近くになってしまっていた。家は大きな通りから小さい路地に入った場所にあり、美容室が1軒ある以外は何もなく東京にしてはとても静かな場所である。
今までは気付かなかったのだか0時になっても美容室は暖色の光を灯して小さな路地を照らしていた。
こんな時間までお客さんがいるのだろうか、と気になり少し立ち止まって見ていると中から1人の女性が出てきた。
女性は僕を確認するとくしゃっとした笑顔で
「こんばんは」と一言いった。
最近プライベートで女性に会う機会がなかったせいかそれだけでドキドキしてしまい、頭を少し下げるだけしてそそくさと家に足を向けた。
コンビニでさっき買ったカップ麺にお湯を注ぎながらさっきの女性を思い出してみる。
おそらく歳は同じくらいだろう。花柄のワンピースに、首元で切りそろえられたハイトーンな髪色。
「可愛かったなあ…」
独り言とすっかり伸びてしまったカップ麺をすする音が交互に部屋に広がっていた。
名前も知らない美容師さんと出逢ってから1週間がたった。前髪が目にかかるようになり鬱陶しいので、せっかくなら彼女が働いている店に行こうと思ったのだが、結局予約まで踏み切れていない。
こんな事を言うのもなんだが僕は美容室が苦手だ。
勿論伸びた髪を切るために今までも足を運んできたが、あの店内に広がる嘘くさい会話のキャッチボールがどうしようもなく嫌いであるからだ。
せっかく素敵だと思った彼女もそんな世界の中で見れば汚れて見えるかもしれない。
それならば、夜に横目で1人店内にいる彼女の姿を眺めている方が後悔しない。
これが僕の考え方だ。
夢を持ったこともある。何かをしたいと思う気持ちはもしかしたら人一倍あるかもしれない。
だけど最悪をイメージして回避する。
それが後悔しない道ではないと気づいているが行動できないのだ。
後悔病僕はそう読んでいる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます