異世界にて孤独

飛騨山

第1話 孤独だね

結局さ……

分かってはいたんだ。元からコミュニケーションをとるのは得意なほうじゃなかった。


あの日から、この地球とは異なる地に降り立ってからもう1年が経とうとしている。

「はぁ、また独りぼっちか」


そりゃそうなのさ、そもそもラノベの主人公がおかしいんだよ。根暗だったり、虐められっ子だったりが異世界に来たとたん豹変したり、言葉が分かるからってこの世界の人とそんな仲良くなれるかよ!


あっ勘違いするなよ?知り合いや友達はいるよ、一応ね。

でもね、僕はこの世界でたまらなく孤独で寂しいんだ。


なら奴隷をとなるかもしれないが高いし、美女ってのは一般大衆が買える市場に来る前にたいてい娼館に買われちゃうんだとさ。

そんなこんなありつつも、僕こと"宮城隆一"が1年を生きてこられた要因はやはりチートなステータスにあるんだろう。

まあ、ほとんど活用してこなかったから冒険者ランクも低いしみんなにもバレていないのだけれどね。


さて、そんな回想を巡らせていたら受付の僕の番が来たようだ。

そう!今僕が語らっているコノ場所こそ冒険者ギルドだったのさ。


「こんにちは、この依頼を受けたいんですけど」

「こんにちはさん、はい・・・受理は完了致しました。お気をつけて!」

"レハル"これが僕のこの世界での名だ。


彼女の名は・・・・・ 何だっただろうか。たまに冒険者ギルドで見かける金髪慧眼の美人さんだ。いつもなら思い出せるんだけどこんな日もあるよね?

依頼書のオーク探索に出かけるべくギルド出入口に向かうと後から喧嘩の声が聞こえてきた。

振り向いてみるとそこには禿げたオッサンと16歳くらいだろうか黒髪黒目のイケメンが言い合っていた。


「オメーみたいな、なよなよした奴は冒険者になるだけ無駄だぜ!すぐに死んじまうからな!」

「ふっ、弱い犬ほどよく吠えるって知ってるか?ハゲ」


この世界で自分以外に黒髪黒目を見るのは初めてだった。


(あれは、日本人?いやそもそもこの国では黒髪黒目が珍しいというだけで少なからずいるのか…?)

そんな考えを巡らせてはいたが、次に彼が発した言葉で彼を日本人と断定できた。


「まったく・・・テンプレかよ」


その言葉を聞いた後、また出入口へと向かった。

野太い男の悲鳴を背にして、、





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