-賃貸屋の長期休暇、海へ行こう⑨-

竜王リンクに謝罪をし…何とか和解した私とアキト、そしてリンクを狙っていた貴族とその従者達は既に犯罪者として捕まっている、イスルスのギルド支部を巻き込んだ一件は終わりを迎えたのだが…

ヒスイがリンクを連れてきた理由はそれとは別らしく


「尻尾の件を許す代わりに僕の家を用意してよ~」


笑顔で言ってくるリンク


「いや~本当はタダではなく代金は払う予定だったようじゃが…イズミンたちが聞かされていたリンクの尻尾を食べた物達と同一人物だったとは…」


とヒスイが言ってくる…私達と別れたあとは久しぶりに再会したヒスイとリンクは挨拶代わりの戦いを繰り広げ、その後はお互いの近居報告と雑談をしていたらしい。

ヒスイの現在の暮らしている場所の話題にリンクは興味を持ち、今現在の王都の民達が生活する住居を自身もほしがった…そしてその住居を用意できるものがヒスイと一緒にこの港町イスルスに訪れていると聞きヒスイと同行してその人物、私に会いに来たと…そしてその聞かされた容姿が自身の尻尾を食った二人組と酷似していると…


「いや~容姿の話を聞いてピンっときたね! 気配からなにから変わってるから本人達とは断定はしていなかったけど…しかし君たち…本気になったら僕なんか軽く消滅できそうだね…あの時と違って僕でも君たちのステータスは殆ど見ることができないよ」


「ワシはほぼ全て見えてるけどの! 」


「そりゃ~ヒスイは僕たち竜王の中では上位じゃないか! 」


竜王の中でも上位と下位、ヒエラルキーは存在する、光竜と闇竜、黒炎竜から始まり下が地竜、水竜とヒスイは黒炎竜で本人は厨二病みたいで嫌らしい、リンクは水竜なわけだが…


「それでどんなものがご要望でしょうか」


「出来れば海の近くで…そうだね落ち着ける感じがいいかな? 僕を信仰している物達もいるから気軽に祈れる感じがいいね~」


リンクから要望を聞き思案する私だったがアキトから声がかかる。


「俺の世界にも残っていたが神社…社みたなのはどうだ?」


「ん?神社って何?」


「え~と簡単に説明すると人々が信仰する者に祈りを捧げるための建物よ」


「お~それはイイね! それにしよう!」


私が説明すると首を縦に振りながら神社を建てる案に同意するリンク、アキトの意見を取り入れ住居は神社にすることを決めて港町近くの沖合に神社を建てる事にした…

港町から近い沖合にある山に建てる事に決めて、浜から山へ続く石階段を作り、リンク本来の姿、リヴァイアサンの石像を左右に設置した随身門、広い境内に権現造、信仰者用の拝殿と崖側に本殿、そこからは美しい海が見渡せるようにした。


神社完成まで3日を要した…


「こ、こんなのでどう?」


港町イスルスにいる下水処理業者を支部から推薦してもらい処理施設に使うスライムはヒナタとクロ―ドに捕獲をお願いしてフィンには妖精魔法で資材、主に木材を用意してもらいかなり急ピッチに建築を進めていった。

さすがに私とアキトへの罰であるから皆にはちゃんとホテルに帰ってもらい私は急速無しで現地に籠り作業を続けた…そして現在、久々に想像魔法を長時間使っい疲労困憊、汗だくになっている私はフィンから水をもらいがぶ飲みする3日間もこちらに籠っていたためすごくお風呂とベッドが恋しい。

あれ…なんで建て替え準備中の私の店より早く完成してるのここ…


「いいね~いいね~気に入ったよ! ありがとう!」


リンクは笑顔で答える中…


「「どういたしまして! 」」


アキトとヒナタがどや顔で答える…いや…アキト? 君はほとんど何もしてないよ? ヒナタは支部とここを行き来したり、資材を運んだりしてくれてたけど。


「今回はギルドのほうでも竜王様に迷惑を掛けた…処理施設の料金はこちらでもとう」


ヴォルフ! 本当に!! お金はあるけどすごいありがたい! アキトと違い出来る男はすごい! ギルドをリフォームするときは豪華にしてあげようと心に誓った。 


「む~~~リンクだけ広い家とはずるいの~私もほしいな~」


「いやヒスイ…あなた掃除とか全然できないでしょ? そして広い場所では落ち着かないといってたじゃない? 社員寮のあなたの部屋…フィンがいないとゴミ屋敷になるでしょ? 」


「ううむ…そうじゃな…」


リンクの住居も無事に建て終え、ホテルに戻った私は蓄積された疲労でそのままベッドへ潜り込み爆睡、後日は王都にいる知り合い達へのお土産を買い込んだカエデさんや三朗さん達にはイスルス近郊で獲れる農作物や魚介類を大量に買い込み、リーナ達王城組には使えそうな他の大陸の魔道具や装備品を購入した。


「これでお土産は十分かな…」


予想外に買い込んでしまい魔道具関係は今回も送ってもらい食料関係は新鮮度が大事だからアイテムボックスへ入れた。


「そうですね帰宅したらお渡ししにいかないとですね」


「てんちょ~新しい店舗が出来たら鍋パーティーしよ! 」


フィンとヒナタも休暇を満喫し日頃の疲れも取れたようだ。


「俺は戻り次第、新しい支部長を決めないとだな…」


リンク…貴族ダネスの1件で支部長を降格させたためヴォルフは戻り次第、イスルス支部の支部長を決めないといけなくなり頭を抱えていた。


「マスター…がんばってください、イズミさんこれから頑張りますのでよろしくお願いします」


王都に戻り店が新しくなったら新たな店員として働くクロ―ド、ヒナタはそれが嬉しく


「クロもこれからは同僚、後輩だね! がんばるように!」


尻尾を振りながらクロ―ドに抱き着く、ちなみにクロ―ドはまだ女装のままだ…


「私も頑張って自分の家でも建てるかのう…」


ヒスイはまだ自分の家を諦めきれていないようだ…いやだから掃除もろくにできないんだからゴミ屋敷になるだけでしょう…


「王都に戻ったらどうしようかな…とりあえずシュナイザーの所にでも行くかな…」


「あいつに伝えて…はやく魔王ごっこなんかしてないで真っ当に働けと…」


そして私達はイスルスでの最後の夜を楽しみ、早朝チェックアウトをしてホテルを出ようとした時、従業員に呼び止められた


「オーナーからの言伝です王都でもよろしくとのことです」


…はて…キングスホテルのオーナーが? 王都でもよろしく…ん~~なんか嫌な予感がするけれども私は気にするのはやめてみんなとホテルを出て、王都への帰路へと歩き出す。


王都に帰還後、まずはカエデや三朗の店に立ち寄りお土産を渡す、すごく喜ばれ、次の長期休暇、旅行には同行すると言っていた。

アキトとヴォルフとも別れてISEKAI CHINTAI跡地に歩きながら…


「なんだかんだで良い休暇になったわね~」


「そうですね~疲れも大夫とれました!」


「新しい店もを建てる準備もそろそろ終わってるころじゃろーて」


「たのしみだな~クロと一緒に働くの! 」


「ヒナタ…ひっぱるなよ! ようやく普段着に戻れた…もう女装はしたくない…」


「お、店舗を建てる準備ができてるわね~明日から新しい店を建て始めますか~」


跡地は綺麗に瓦礫がどかされ、排水処理施設の設置、組み立ては完了していた、また店舗を大きくするために隣の空き地も購入してある、料金はギルド経由で支払うはなしになっていたのでヴォルフには別れ際に料金を渡してあるから今頃支払いの手続きをしてくれているはず。

とりあえず今日は私は社員寮の2階、契約者がいない部屋があるからそこに寝止まりしようと決め、社員寮で店舗の内装を話し合う事にした


「いそがしくなるぞ~」


私がいろいろと試行しているとヒナタとフィンが指を刺す、その方向には確か店があったはずだが…


「てんちょ~、店の前にあった飲食店と道具やが亡くなってる…」


「本当ですね~売却地の看板がたっていますね…」


私の店の跡地と同じように更地になり…看板が立っている


「「「どれどれ」」」


ヒナタとフィンが気づき、私達3人はその看板を確認する。

売却地、キングスホテル王都店建築予定地…と書かれている…


「これの事か…嫌がらせといえば嫌がらせかな? 」


どうやら賃貸屋ISEKAI CHINTAI前に豪華ホテルが建設されるらしい…

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