-賃貸屋の長期休暇、海へ行こう⑧-

私とアキトはユクド・ヘイラに同時…しかも同じ場所に転生、転移しその縁から二人で旅をした。


その場所はエルフの森でエルフたちと使役する妖精達とで管理、守護してきた森であり神聖な場所でもあった、王都リ・ワールドに来る新しい体に憑依するタイプの転生者、と転移者はのほとんどはエルフの森に現れるらしく特異点的な何かになっているそうだった。


私達は王都に向かいながら村や街、集落を訪れながら、魔物と戦い、いくつかのダンジョンでスキル、称号、能力を上げていき王都につくまでにはそれなりに強くなった。


そして王都リ・ワールドにたどり着き冒険者登録、王女リーナとの出会いを果たし手厚い歓迎を受け、ユクドヘイラで必要な事を学び、王都での生活を許可されたが私達は一度、この世界を旅したい旨を告げ旅をつづけた、中央大陸を周り、西の大陸へと…気が付いた時には私達が持つ二つの称号、勇者の卵と魔王の卵は、勇者と魔王に代わっていた。



西の大陸でも中央大陸ほど平和ではなかったが問題が発生…考えてみれば単純な事だ…


「アキト…西の大陸の流通通貨…持ってる?」


「え…俺はイズミが交換しているものだと…」


「「…」」


私達は手持ちの食料が尽きるまで気づかなかった…そして現在いる場所は食用の魔物も数少なく…

飢え死にすることもできない体…心身共に限界に近くなったころようやく食料を求めて海までやってきた時…それはいた


「僕の住処にやってくるなんてね…」


強大な鰻に私達には見えていた…油がのり、蒲焼にすればとてもとても美味しそう…ステータスを見ることも忘れ私達は武器を構えて襲った…見るからに凶悪な竜の体、青く細長い体、リヴァイアサンと呼ばれるタイプのドラゴン、竜王リンク…とは知らずに戦いを挑む、飢えて空腹な胃袋を満たすために。


「なかなかやるじゃないか! 人間! でもそんなんじゃ僕を倒せないぞ!」


慢心する竜王…私とアキトは全力で挑む…ブレスを避け、牙を避け…


「アキト! 同時に尻尾を斬るわよ! 」


「了解だ!! 」


二人の渾身の一撃を同時に放つ


「痛い! 痛いいいいいいいい! 僕の尻尾を良くもおおおおおお!!


目の前の鰻(竜王)の尻尾を斬ることに成功しその後も戦闘は続いたが…


「お、覚えてろよ!! 次は必ずやっつけてやるからな人間!! 」


鰻(竜王)は捨て台詞を吐きながら海へと消えていく…が私達は去っていく姿を血走った目でおい


「食料が逃げるわ!! 」


「くっ…足がもう動かない… 」


「しょうがないわね…さて食べましょう!! 」


ボロボロの体…追撃するのを私達は諦めて戦利品、鰻の一部(竜王の尻尾)を涎を垂らしながら焼き、平らげる私達…ある程度理性が戻ってきて


「鰻じゃないわねこれ…美味しいけど」


「ん~~~~…ん? 」


「どうしたのアキト? 」


「おいイズミ…これ…竜王の尻尾ってでるぞ」


「え…本当ね…竜王の尻尾って私にも見えるわ」


鰻の尻尾にステータス鑑定を行った私達…口の中の咀嚼を止めて見つめあう。

とめどなく出てくる汗…青ざめる顔色…自分たちはよく無事でいられたものだ…本来ならまだまだ竜王に挑むほどのステータスを持っていなかったからだ。

その後、知ったことではあるが竜王リンク…リヴァイアサンは能力こそ他の竜王よりも弱いが特有の能力、無限再生を持っていることを知り、斬った尻尾も再生すると解り少しばかり安心をしたのだが…


その後も竜王クルスは尻尾を斬った私達に恨みを持ち追いかけ、襲撃してきた、ときには人化した状態で…

とある宿屋で…


『もしもし』


「「……!?」」


飛び起きる私達、外で・ダンジョンで・村で・街で・野営場所で、場所を選ぶことなく襲ってくるリンク、私達は同意の上で宿屋でも同じ部屋にして何時襲撃されても大丈夫なようにしていた。


『もしもし…僕、リンク…いま君たちの近くにいるんだ』


念話で訴えてくる、私達は身支度を整え宿を出る。


『もしもし…僕だよ、…もうすぐ君たちの後ろにつくよ』


「近づいてくる!! 早く! 早く! 」

「全力で逃げるぞ! イズミ 急げ!! 」


そして薄い水色の髪の男の子が目の前に右手には鋭い爪…


「もしもし…逃げても無駄だよ? もう目の前にいるもの 」


「「うわああああああああああああああああああああああああああああ」」


私達は毎週のようにあらわれるリンクと出会えば戦い、逃走し、逃げる場所々々に追ってくるリンクをどうやれば倒せるか…追われずに済むか必死に考えた。

そして西の大陸をすべて周りきる頃…旅というよりは逃走劇ではあったが…ついにリンクから追撃されない方法にたどり着き…


西の大陸から一度、中央大陸に戻ろうとした時…港町イスルス近辺の海…


「や~そろそろ僕に倒されなよ…僕もそろそろ飽きてきたよ」


竜王本来の姿で私とアキトが乗る船を強大な首を持ち上げて眺めてくるリンク


「ええ…私達もそろそろ限界よ…ここらへんで終わりにしましょう! アキト!! 」


「おおうよ!! 」


三日三晩にわたる戦闘…そして、旅の途中で出会ったエルフのフィンの協力の元…竜王リンクを港町イスルスに封印することに成功した…封印と言っても限定的な者であり数か月で解ける物だったがその間に私たちは能力を伸ばし、気配遮断やステータスの隠蔽などリンクに足取りを掴まれない努力を繰り返した。



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そして数年後の今、時折私達はリンクの気配を確認し察知されないように旅を続け、イスルスにやってきたりもしていたが遭遇することも無く今まで過ごしていたが…


「まさかヒスイの連れが君たちとは…外見的特徴を聞いていたからもしかしてと思ったら…」


「竜王様リンク様…あの時は竜王といざしらず大変申し訳ありませんでした」


深く謝罪するフィンそして…逃走をはかった私達だが捕獲され…今は竜王リンクに正座をさせられている。


「「すいませんでしたーーーーーーー」」

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