‐事件とその結末‐
私は地図に書かれた場所…王都の外れにある屋敷、塀に囲まれ小塔や円錐形の屋根をもつ屋敷、外には私兵であろうか随分と厳重に守られている。私が到着すると門番をしているものが正面の玄関から屋敷に入っていくと先日、私の店に訪れた従者が外にでてきて私を出迎えた。
「ようこそ御出で頂きました。どうぞ中に…」
「失礼します」
従者の物、名前はホーキンス…先ほどから常に私を警戒している…隙を見せない身のこなし、黒いヴニング・コート…隠してはいるが懐にはナイフ…ダガーを装備している。
屋敷に入るとホールになっており、メイド達が左右に並び達…奥の2階へつづく階段…その階段から屋敷の主である貴族、ダネスが下りてくる。
「よくぞ来たな…それでは屋敷を案内しよう…」
「はい宜しくお願いします…」
ダイニングルームに凝った装飾暖炉のある応接間、居間、寝室、、従者の控室、様々な書籍が並ぶ書斎、銀の燭台や壺、ダネスの肖像画が飾られた食堂とダネス自ら案内していく。もちろん私の後ろにはホーキンスが着いてくる。
「ここが私の自慢の酒蔵だ…様々な国のワインや酒を集めた」
ダネスが笑みをこぼしながら自慢をしてくる、たしかに見る限り珍しい物ばかりだ
「素晴らしいですね」
「どうだね食事をしながらでも」
「ダネス様、お言葉に甘えたいところですが…大変申し訳ございませんが此度は辞退させていただきます本日はあくまで仕事ですので」
「ふむ…残念だな…これで案内は以上だが…これで査定の方を頼む」
「そうですね…屋敷もとても綺麗で、外見や内装も手入れがされておりますが…」
たしかに屋敷は全て案内された…だが私がこの屋敷の売却の話を受け…そして自ら訪れた理由が存在する…それは
「ダネス様…ですがまだ案内されていない部屋がございますね?」
「なんの事かな?」
「外から見た屋敷と実際に案内された屋敷内…違和感がありました、特に寝室、あの奥にまだ部屋がありますね? そして地下も…」
とカッコいいことを言っているが私の称号、【全てを見通す者】によって内部の構造は把握していた。
そしてその部屋に隠されているものも…
ダネスの顔が硬直し…やがて邪悪な笑みを浮かべる。メイド達が姿を消し私は武装した私兵達に囲まれ包囲される。
「……身動き取れないようにし拘束して私の部屋にもってこい、楽しみがあるんだやりすぎるなよ」
そう言い残しダネスは消えていく…そして私兵達は武器は抜き放ち、従者ホーキンスも左右にダガーを持ち構え口を開く。
「なにも言わずに金を受け取り屋敷を買い取れば良いものを…これから貴方は我々に倒された挙句、拘束され主人のおもちゃにされる…そしてこの屋敷からは2度外にはでれない…まだお若いのになんて不幸な…」
「優しい事を言ってはいますけど…貴方の今の顔鏡みますか? 貴方の今の顔…餌を前にした魔物、人を傷つけ、その人の不幸を視るのが楽しくて楽しくてしょうがない、そんな顔をしていますよ?」
包囲している兵士たちが吹き出し、笑い始める…そしてホーキンスも…
「…ふ…ふふ…ふははははははははあはあははははははははは」
ホーキンスは従者という偽り、作っていた顔を歪め固めていた髪を掻き乱し、歯を向きだし無邪気に笑い始める…そう、これがコイツの本性だ…
「お嬢ちゃん!! お前と、お前の店にいる店員! お前らを見ていて本性を隠すのは大変だったよ…」
ホーキンスが襲い掛かる、ダガーによる左右の2閃
「俺の体に染みつく血の匂いに気づいたのか?…お嬢ちゃんから…ものすごい威圧だったぜ? おもわずあの場で本性を出すところだったよ俺自身ウズウズしてな…ダネスからおこぼれをもらって夜はそちらで発散させてもらったが…な!!」
こちらが聞いてもいないことをべらべらと喋ってくる、自身が昔冒険者だった事、女の人とダンジョンに挑み、魔物を素材をうって生業をしていた事…
「俺はなその好意を寄せていた友を売ったのだよ! 俺はあいつの才能、能力、スキル、全てが羨ましく、そして憎かった」
「それで? そのお友達は? 」
攻撃を交わしつつ向うの会話に合わせる
「ダンジョンで、稀に落ちると言われるドロップ、隷属の腕輪と言うのがあってな…今の主人に売りつけて、この遊んで暮らせる生活を手に入れたよ…そしてアイツを主人と結託して罠にかけ腕輪をはめた…
夜は主人と一緒に3Pだ!」
「―—――っ!!」
あ、あまりにも腐りきった内容…効かない方がよかった
ホーキンスの連続攻撃を避けていたが途中、武器から手を放し投てきしてきた…私の両頬に線が入り血が流れ…そして背に痛みが走る…。
そしてホーキンスはダガーについたワイヤーを弾き、私の背からダガーを回収する。
「すごいなお嬢ちゃん、俺の攻撃を容易くよけるとはな…まさかこの手を使わないと傷漬けられねーとわな…これでも元冒険者なんだぜ?俺・た・ち・は!!」
様々な武器を持った兵達…
「まーアイツは精神的に弱り切ったのか…最後は舌を自分で噛み切って死んだがな…お嬢ちゃんも同じ運命をだどるのかね? 」
周囲で笑っていた私兵達が襲い掛かってきた…
「やれやれ…私もそろそろ…少し本気をだそうかな…」
私は自身に治癒魔法をかけて少し本気を出すことにきめる…体に施した封印を少しづつ解除していく
体に魔力がいきわたっていき私の手に魔術文字が浮かび上がっていく…
「お嬢ちゃんもようやくやる気になって……おい…な、なんだそれは…」
ホーキンスが驚愕に顔を染め、近くにいた奴らは1歩また1歩と下がっていく。
私が転生してきて初めて覚えた攻撃魔法は雷系統の物、他の系統もマスターしているが雷がもっとも私に相性がよかった…そしてそれは極まりオリジンへと至った。
初級、中級と上級…そして特級の先、それがオリジン
「さてと…」
私は軽く腕をふる…それだけで周囲にいた雑魚達は痺れ、泡を吹き倒れる…私の体には輝く魔術文字、文様が浮かび全身に雷を纏う…
「体に魔法を纏っているのか…いや確かこの国の王は炎を纏うという…おまえも…至っているのか…オリジンに!! 」
「さあどうでしょうね? 」
ホーキンスが襲い掛かってくるが遅い…鳩尾に蹴りを入れ吹き飛ばす、壁にぶつかり床に落ちる…左手を持ち上げてダガーをこちらに投げてこようとするが…
「そんな苦し紛れの攻撃…」
私は右手に溜めていた魔法を解き放つ…雷撃魔法の一つミョルニル、暴れまわるプラズマ、放出される一筋の閃光、ダガーを飲み込みそのまま壁に大穴を空ける…
「ひ、ひいいいいいいいいいいい」
座り込むホーキンスの股から液体があふれ出し、ひどい臭いをまき散らす…
「さて…外道にはお仕置きが必要よね…
何もないはずの背中に腕を回し…金属バットを渡しは取り出した…怯えるホーキンスと意識は取り戻した兵達…だが恐怖と痺れで身動きがとれない
--30分後--
屋敷内、寝室の奥に隠された部屋…その奥で一定間隔のベットが軋む音が鳴る
「ふふふ…もうすぐアイツも私のコレクションになる…遊ぶだけ遊んでこの屋敷ごと捨ててやる」
貴族ダネスはベットの上で女性を抱き、囲まれていた…女性たちは首に首輪をされている。泣いているものや目の焦点があっていない者、大人や子供、獣人、竜人、種族もバラバラだ。
「え~やだ~私はお前のような奴のコレクションにされるのはごめんだな」
私は血だらけのバットで肩を叩きながらダネスの前に建つ…
「寝室の奥には、街から拉致、監禁してきた人たちをもて遊ぶ部屋と…地下にはその牢獄…監禁部屋…亡骸は供養させてもらった…」
「ホーキンスはどうした?! 兵士たちは? まさか倒したというのか? お前のような小娘が?!」
「いや~手加減するのって難しいよね~特に少しできてしまう実力者とか? 傷つけられたのってまったくやる気がなかったとは言え久しぶりだったよ」
「馬鹿な…」
「いや、私これでも転移者ですし…いろいろ称号やスキル、仮にも勇者ですからね…ところで…」
私は肩を叩くのはやめて威圧をかける…周りの女性たちには気の毒だな~と重い鎖を壊し外へでるように言う。「ありがとう」と私にいい出ていく。
「もうすぐここには王城から兵士たちがやってくる。理由はわかるよね?この王都では…いいえこの世界では…殺しは重犯罪、魔物以外…人族、獣人、竜人にエルフ、ドワーフ、魔族に勇者、魔王もだ! 血を血で洗う、争い、戦争…種族同士の争い、殺し合いを無くすために先人たちが決めたルール…それを貴方たちは破った…」
「た、助けてくれ…金ならやる! 屋敷もやる! ほんの遊び心だったんだ…」
「見逃せないわ…大人しく投稿し罪を償いなさい…」
「く、くそおおおおおお!!」
ダネスは盾掛けられた剣を抜き、私に切りかかってくるが…
「大人しく捕まりなさい…時間の無駄…」
私は軽くバットをふるい…ダネスを床にめり込ませる…死なない程度に…
「さて…いきますか…」
ダネスの首をつかみ引き釣りながら部屋をでて階段を下りていくと丁度、城から兵士が到着したらしく腕やら足がへんな向きにおれまがったホーキンスと私兵達を引き攣った顔で回収している。奴隷扱いされていな女性陣も保護された、地下の亡骸も回収されていく
ダネスやホーキンスが私の店に訪れた時、彼らのステータスに表示されたのは
<<重罪人>>この世界でまずその表示がされているのは人を殺めたものだけだ…
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