-屋敷の売却依頼と不運な冒険者‐

今日も賃貸屋には新たな住居をさがしに様々な客が訪れいている。

店舗前に張り出された物件情報、賃貸契約、中古物件等、相談窓口を利用し検討する人、王都に長期滞在を希望し契約する人、住居の売却を頼むもの人それぞれだ…

今日は客足が多く店長である私も自らお客の対応を行っている…といっても私含めて3人なのでいつも通りなのだが…


そんな中、二人の男が入ってくる…あきらか怪しい…


「いらっしゃいませ、住居契約ご希望の方ですか? 」


「ああ…いや屋敷の売却をかんがえているのだが… 」


どうやら売却希望のようだ、1人は中肉中背、宝石の付いた指輪やネックレス、やたらと着飾っている、そしてもう一人は付き従うように男の後ろに立ち周りを警戒している…ステータスを見ると【貴族】と【従者】と書いてあるそしてステータスにある一点を見て…これは話を聞き屋敷に赴くべきだと私は判断した。


「売却希望ですね! 買取まえに査定を行うため現地の確認が必要なのですが宜しいですか? 」


「ああ、構わぬ明日にでも来てくれるか…」


「お急ぎなのですか?」


「ああ…近々王都をでる事になってな…オイ!この物に場所をお教えしろ!私は外にでている」


「はい…わかりました旦那様…」


貴族の男は従者に一言命令し店の外へ出ていき、従者だけが店に残った。従者の男は背が高く、私より2頭身ほど高い…2mはあるのではないか? 顔は堀が深く白髪で片眼鏡を掛けており目つきはとても鋭い…私を見ているようで周囲への警戒を怠っていないステータスでも分かっていたがかなりの実力者ではある…

万が一があったとしても私がどうこうされる事はないのだけど。


「旦那様に代わって私がご説明いたします。賃貸屋様の事ですから場所をお教えすれば分かると思いますがこちらが屋敷への地図になります。明日の正午に来て頂くことは可能でしょうか? 」


「確認しますね…王都の外れのお屋敷ですね…はい、問題なく伺えると思います。そういえば最近こちらの屋敷近くで行方不明になった人がいるそうなので気を付けてくださいね」


「そのようですな…従者一同、厳重な警備をしておりますゆえ問題はございません」


「物騒ですよね…あ、失礼しましたそれでは明日、査定に伺わせていただきます。」


「宜しくお願いします。…それと屋敷に来られるのは貴方様のみでしょうか? 」


「その予定ですが…なにか問題が? 」


「いえ…それでは明日、お待ちしております…」



そして従者の男は私に背を向け店をでていく。外で主人と何やら話をしているようだがすぐ二人で中央通りへと消えていった。二人のステータスを確認した際付けて置いたマーキングを確認し遠ざかった事を確認し筆を取って1枚の紙に必要事項を記載した後、封に閉じ…


「ヒナタごめん、そちらの方はフィンに任せて急いでこれをギルドと城へ持って行ってくれない? できれば遠回りだけど東通りから側から周り道でお願い」


「ん~? おつかい? わかった! いってくる! 」


ヒナタは私から手紙を受け取り王城へ向けて走っていく。ヒナタの方を見ていたフィンが対応していた客に一声掛けてこちらへやってくる。


「店長…」


「フィンも気が付いた? とりあえず今日は気にせずにいつも通りの仕事をして・・・」


「はい…わかりました」


「面倒なことになったな~…最近はなかったのに…後は明日だ…」


私は深いため息をつき相談待ちのお客様の方へ向かう。




--------




何組かのやり取りをして大夫お客がいなくなり店内を見渡していると一人の男が目についた


真剣に物件情報を観ているけど…1件屋希望の方かしら、見ているもの全てが1件屋だ…さきほどの貴族とは違いまともなお客様のようだ、ただケガをしている…腕を追っているのか添え木をして首からさげている」


「お客様どのような住居がご希望ですか?」


「あ…どうも、実はこれらの物件から選びたいのですが…迷ってしまって」


「なるほど!…中古物件をお探しで、お住まいになられるのはお客様お一人ですか? それとお客様…そちらのお怪我の方はどうなされたのですか? 」


「あ~これですか…いつもの事なんですが商人の馬車馬が急に暴れだして…二人暮らしです」


「いつもの事?! 良ければ私、治癒魔法が使えますので治療を」


「本当ですか助かります! ええ…なぜかいろいろと巻き込まれやすくって…こないだなんかダンジョン内で崩落がおきて…その前は一緒に同行していた物の剣が折れて太腿に刺さったりと…」


「それでは折れた方の手を…って、え…」


どんだけ?! 馬に襲われたり崩落に巻き込まれたり…治癒魔法をかけながら話を聞いているとでてくるでてくる怖い話が!! 戦いの流れ弾の魔法に直撃?! 乗っていた船が大渦に飲まれて沈没?! この人よく生きているな…運だけは強いのか? 巻き込まれている時点で限りなく0だけど…ステータスをチラ見して…あ…0だ……称号に【不運に愛されし一族】…なにその称号…一族…


「はい! 治りましたよ! どうですか?」


「ん?!…治ってます!!ありがとうございます!!」


「いえいえ…無事に治ってよかったです…ええ…本当に…」


まずありえないけど爆発とか治癒どころか悪化なんかしたら困る…


物件の説明を進めていき男は東の住宅街にある2人暮らしには十分広い平屋を選んだ、中古物件でかなりお安い!なんせ事故物件…ドラゴンの墜落に巻き込まれて死んだ冒険者が住んでいた場所……霊がでるとかで確認はしたけれど問題はなかった…代金を受け取り必要書類にサインを頂き鍵を渡した。男は鍵を大事そうに握りしめた


「いい物件を紹介して頂いてありがとうございます!」


「ご利用ありがとうございました」


「それでは…」


男を店の外までご案内しお辞儀をし見送る。…すごく心配だ…家が倒壊したりとか…まさかね中古といっても私がリフォームずみで補強もしてあるしドラゴンやら隕石やら落ちてこなければ大丈夫!…なはず…あれ…なんだろう…自身がない…


次にあった時に称号をどうにかしてあげようかな……あーーなんでさっき治癒魔法と一緒にやらなかったかな私!! どうしよう! 明日の貴族の件より頭がを悩ますよ?! …忘れよう…頑張って忘れよう…











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