-佐藤三郎 夢はラーメン屋‐

自分は佐藤 三郎 24歳 調理学校を卒業し夢であったラーメン屋を始めるために人気店を経営する叔父の所へ修行させてもらえる事になった。

仕込みの時間や閉店後に叔父直々に基本から叩き込まれ、まだまだではあるが

叔父が作り出す味が大夫再現できるようになり魚介系の塩と豚骨系の醤油、秘伝のスープを学んだ。


「三郎…よくここまで俺の味を再現できるようになった…これで来週オープンする8号店の厨房に入る事を許す、さすがにまだ先輩についてもらうがな」


「叔父さん! ありがとうございます。精一杯がんばります!」


そして今日!叔父から合格をもらえた!まだ独り立ちは許されてはいないがようやく夢が叶うんだ!


「そしてお前にプレゼントだ、知り合いの包丁職人に打ってもらった、日本古来の鍛造法で切れ味は折り紙付きでお前のよき相棒になってくれるだろう」


「あ、ありがとうございます!」


叔父から包丁を受け取り眺める、美しい刃紋で虎徹と刻印されている、虎徹というのは叔父さんの名前でラーメン屋の名前も虎徹だ、よろしくな相棒!


「ではもう遅くなったし帰るとするか」


「はい、厨房の片づけはおわっていますので、清掃チェックしてきますね」


「俺は売上を金庫にいれてと…三郎、明日は閉店日だしやっぱ飲みにでもいくか?」


「叔父さんの奢りですか?…叔父さん酔っぱらうと支払い忘れるんだよな」


「すまんすまん!今日はそこまでは飲まない…」


「大丈夫かな~」


----3時間後----


深夜の商店街、自分たち二人は帰宅するために歩いており


「結局支払いは自分じゃないですか~。酔いつぶれてはいないですけど財布を店に忘れるとか…」


「いやいや、すまない包丁も持ち歩くわけにもいかないし店に置いてきたんだから今日は泊まっていけ」


「お言葉に甘えて…」


叔父の店、虎徹本店は2階建てだ。一人暮らしなのに無駄に4LDK、寝室が二つあり叔父の寝室と店員達が寝泊まり用、残りの部屋は趣味であるゲームや漫画やライトノベル、フィギュアなどが飾られており店が休みの時や自分が休みの時もお邪魔している。

今は市販されていない昔のゲーム機やソフトも多数あり格闘対戦ゲームに関しては叔父に勝った事がない。「まだまだ甘い! その攻撃には0.07秒の隙が!! 」と言われても無理だよ…


「それじゃーお休みー」


「おう、お休み~…」 プシュッ…


「まだ飲むんだ…」


ベットに潜り、枕近くには貰った包丁とスマホを置いて眠りにつく

……夢を観ていた見知らぬ土地、騎士やファンタジー作品でよくある冒険者達が暮らす場所で

自分と叔父二人でラーメン屋を…「サブロォォオオオオオオオオオオオオ」叔父が叫んでいる気がする


--------------


「!! 」


「おう…起きたか」


「え、叔父さん?なんで自分たち外にいるんですか? 遅くまで飲んで、叔父さんの家に泊まって…あれ?叔父さん? どこにいるんですか?」


「ここだここ!」


叔父の声が近くに聞こえるがどこにもいない…なんか手元の方、とても叔父さんの背格好では聞こえてくるはずのない所から声がする」


「ここだって! お前の手元!! 虎徹!!! 虎徹~!!!! 」


「なに自分の名前を連呼しているんですか…手元って…」


「そう私だ!! ]


「え…包丁の虎徹…え…叔父さん?包丁の虎徹が叔父さん?」


「どうやら…女神さんの話ではお前の転移に巻き込まれて俺は包丁の虎徹に転生?したらしい」


「…嘘やん」


どうやら自分がこちらの異世界に転移し叔父は転移現象で起こる地震に慌てて自分を助けようと室内にはいったところ謎の空間? に吸い込まれようとしている自分と一緒に入ったところ本来転移される予定の無い叔父は異物と判定され肉体が消滅してしまったと…

その後は真っ白な空間で女神とあい転生を望むかいなかを問われたところ、自分の傍にいたい事を望んでくれたらしい。

なにやら女神さんにいろいろと要望したらしいが…


「…というわけで基本的にはテンプレでよくある感じでステータスやらアイテムやら収納できる、現在は中央に位置する大陸でこの森林を抜ければ海がありそこから近くにある王都リ・ワールドへ向かう、この異世界で言う大昔に転移してきた人物が建国した所だな、リターンワールド…そのまんまだがお前を向うに帰す手段があるかもしれない」


「帰すって叔父さんは?」


「いや俺ははおめぇ~体が消滅しちまったからな…店の経営も心配だし残してきた奴らどうするかな…」


「…ファンタジーの世界なんでしょ?もしかすると叔父さんの体を取り戻す方法もあるかもしれないじゃないか!悲しいこと言わないで探そうよ」


「まぁ…こんな森林の中で揉めていても仕方が無い! 魔物や竜もいるみたいだからとりあえず王都へ行くぞ! 竜か竜骨で出汁とるとどんなラーメンできるかね…」


「そうだね…こんな状況でもラーメンの事を考える叔父さんも凄いけど…なぜか浮いてるし…」


「あ…今月の給料振り込むの忘れてた…女神さんには向こうにメッセージを渡してくれると特別にお願いしてあるけれど」


「メッセージより帰る方法や体を取り戻す方法があるか聞いておくべきじゃなかった?! 」


「忘れてた…」


「酔い覚めてない?本当になにか忘れるよね叔父さん…」


そして自分と叔父(包丁)は王都にむけて歩き出した…森林を抜けると大地が広がり


「なんだあれ?! 」


「ああ…あれが世界樹だ!海沿いに見えるのが王都だ! 海か~どんな魚がいるのか新鮮な素材が手に入りそうだ」


「近くに森や山岳もあるしダンジョンもあるんだよね? 」


「そうらしいな…心が躍るな…異世界にくるなんて夢のようだが…包丁か俺…ステータス見ると勇者の武器になっているんだが…」


「転移または転生者には必ず付くんでしょ? 勇者とか魔王の~とか、体がどうにかならなかったら大事に使うよ! 叔父さん! 」


「刃こぼれさせるなよ…むしろ折るなよ?! これから俺たちの冒険、ラーメン道が始まる! 」


「あ…やっぱり異世界でもラーメン屋やるんだ…というかその言い方じゃ終わりそうだよ」



異世界転移してしまった自分と自分を助けるために巻き込まれた叔父と二人、不安ではあるが帰還する方法と体を取り戻す方法を探すために王都に向かう。まずは情報を集めるのと宿を探すのだけどお金とかどうしようか…さきほどから叔父をつかって魔物を狩っては回収しているけど…不安だな…


「三郎! 豚だ! 豚らしきものがいるぞ! オークだオーク!! 豚骨とるぞ!! 」


「はい…」



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