素晴らしい小説でした。
クトゥルー神話作品といっても、「クタート・アクアディンゲン(水神クタート)」のような魔導書の固有名詞を作中に入れるのではなく、ひとつの怪奇小説として書き切っていることに、驚きを隠せません。
神話存在等の固有名詞だけで、怪奇小説――もっぱら、クトゥルー神話作品を名乗ることは少々無理があると感じてました。
ラヴクラフトの文体で物語を作るのは、できない芸当です。なぜならば、文体は雰囲気を構成する、ひとつの要素に過ぎません。
しかし岬士郎先生は、純然たる怪奇小説としてのクトゥルー神話作品を、書き上げたように思いました。
これこそが、プロの筆力というものですね。
作者からの返信
商業誌ではまだ短編が一本、という状況なのでこれでプロと名乗ってよいものか甚だ疑問ではありますが、とにもかくにもこのような評価をくださり誠にありがとうございます。
クトゥルー神話といっても幻夢境やハイパーボリア(ヒュペルボレイオス)を舞台にしたファンタジーものや、のちの作家様による伝奇作品など多様ですが、やはり主軸は宇宙的恐怖だと思うのです。
私が宇宙的恐怖としてのクトゥルー神話を書く場合にときどきやっていることなのですが、神話用語を用いずにとりあえず最後まで執筆し、必要な箇所にあとから神話用語を入れる、という手法があります。まずは恐怖ありき、といったスタンスで書くわけです。
自分もいろいろなタイプのクトゥルー神話を書いているので、そのつどスタンスを切り替えていますが、おっしゃるとおり、怪奇小説として執筆する場合は、神話用語に頼りすぎると恐怖感が薄れ、怪奇小説として成り立たなくなることがある、と思います。
日々勉強でありますが、そんな自分にとって今回のお言葉は大変励みになりました。
ありがとうございました。
うあぁ…物凄ご過ぎる衝撃。
…そんな事が。でも矢張り、人々の
心理と思惑の交差…ヒタヒタと
迫る不安感…
…………言葉もない……。
↑
こんなコメントしか出来ない(涙。
作者からの返信
ありがとうございます。
一応フィクションではありますが、超常現象ではない部分に実体験が多く入っています。