Road to the TOP

けんせい

プロローグ 夢の舞台へ

(やっとこの場に立てた…)


名前が呼ばれるのを待つ間、これまでの思いが頭をよぎる。


たまたまテレビでプロレスの試合を見て、身体に衝撃が走った中学時代。テレビの中で輝いていた“あの人”のようになりたくて、高校三年間必死にトレーニングを積んで挑んだ。卒業前に受けた大手プロレス団体PFPW(パワーファイティングプロレスリング)のオーディションでは最終選考まで残ったものの、選ばれることはなかった。その後、地方のプロレス団体で修行を積み、それなりの結果を残していると感じられた時にかけられたPFPW主催の試合への招待。そして今日…


(今日オレは、ここで結果を残す…!)


見事なまでに鍛え上げられた全身の筋肉にグッと力が入る。そしてコールされる時が来た…!


「青コーナー…185cm、90kg…上田ぁ…修斗ぉーーーっ!」


“あの人”と同じ青ショートタイツ姿で右拳を高く突き上げ、アピールする修斗。


「赤コーナー…179cm、80kg…井原ぁ…雄馬ぁーーーっ!」


PFPWの若手のホープ・雄馬のコールで会場は一気に盛り上がる。


(この試合だけは負けられねぇ…絶対にな…!)

自分より一回り小さい雄馬をグッと睨みつける。目の前に立つ雄馬…彼こそ、修斗が落ちたオーディションの唯一の合格者だったのだ。自分が進みたかった道を進んでいる黒ショートタイツ姿の漢との対戦…負けるわけにはいかなかった。


そして、修斗にとってこれまでのレスラー人生で一番の大勝負のゴングが鳴らされた。

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