ドラゴンを倒せるまで終わらない物語
森カケル
第1話
その日は、朝から少し薄暗かった。
起きて、家の外の川辺で顔を洗い、昨日の残りのスープを簡単に飲み下して、作業着に身を包み仕事場へと向かう。
舗装されていない、大小様々な石の転がる道を、ふらふらしながら歩く。
まだ寝起きのぼんやりとした頭で歩き続けていると、いつの間にか仕事場に着いていた。
そこからの時間の進み方は本当に早い。
仕事に取りかかると、気がつけば昼。
疲労感を払うように、ふと太陽の傾きを気にすればもう夕方になっている。
仕事場を出て、夕飯は何にしようかと考えながら朝来た道をぼんやりと踏む。
そこまでは、本当にいつも通りだった。
どんよりとした天気に引きずられて低迷していた気分のまま、誰もいない、何もない草道を歩く。
遠くに見えるうっすらと朱色に染まった稜線を眺めていたときだった。
視界がなんか変だ。
暗く映っていた世界が、どんどんと明るくなっていく。
太陽を直視した後の目のチカチカに似ていた。
でも光源があるわけではなかった。視界そのものが、光で遮られてゆく。
暗かった世界が、白に染め上げられてゆく。
なにかの予感がした。
胸が、今までにないほどざわめいた。
これからの人生が
これまでと決定的に変わってしまっ——————————————————
———気がつくと、目の前には絶望している美少女がいた。
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