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「レイルザッツさん!?い、いらしてたんですね」


男性係員が驚いた様子であわてて新聞をなおし姿勢を正した。


「ああ、仕事でな…で?何やら困ってるようだがどうした?」


「そうなんですよ!そこの子供が水晶になかなか魔力を流さなくて!」


「いや、お前には聞いていない」


「なっ!?」


レイルザッツと呼ばれた冒険者はアキタカの頭をなでながら、喚く男性係員をバッサリと言葉で斬った。


「まあいい、プルーヴカードとの接続を切って水晶だけにしろ。アキタカ…だったか、もう一度水晶に触れてみせてくれないか、力まず触るだけで良い」


「う、うん…」


レイルザッツにそう言われ、アキタカはもう一度両手をペタンと水晶に当てるが、やはり何も反応はない。

男性係員はまたイライラとした表情を見せるがレイルザッツは違った。


「こりゃあ驚いた…こんな体質の人間が居るとは…」


「え?」


驚くレイルザッツにアキタカはきょとんとする。


「そこのお前、部署をかえてもらえ、これに気付かないならここの仕事には向いてねぇよ」


「はぁ!?あ、いえ、失礼…何故ですか?」


「水晶を見てみろ、っていうのがそもそも可笑しいんだ」


「何も…? な!?こ、こんな事があるんですか!?」


男性係員が驚いた様子で立ち上がり水晶に触れる。

すると、アキタカが触っていた時とはうって変わって白く濁り始めた。

もちろん魔力を流そうと意識したわけではない。

水晶は元々、触れた生き物の体表に流れる魔力を感知すると白く濁る性質をもっている。


この世界の生き物ならば意識せずとも僅かに魔力を纏っている筈で、全く変化がないというのはありえない筈だった。

アキタカが水晶に触れるまでは…


「偽物…というわけではない…?君はいったい…」


「この子のカード更新は冒険者ギルドが請け負おう、ギルドならお前が言っていた化石みてぇな契約方法が使える」


「しかし…」


「俺が更新完了するまで同行する、それで良いだろ?お前さんは業務でお忙しいみたいだし?」


「そ、それは…すみません…」


レイルザッツに痛いところを突かれると男性係員は大人しくなった。


「ほら、行こうぜお二人さん」


男性係員が預かっていたカードをレイルザッツが受けとるとアストラルに渡し、ついてくるよう声をかける。


「レイルザッツだったか…ありがとう、助かる」

「ありがとう!」


「いいって事よ」


レイルザッツはアストラルとアキタカにお礼を言われると機嫌良くズボンのポケットに手を入れ口笛を吹きながら二人を案内するように足取り軽く前を歩く。


その背中は無防備で黒い大剣を背負っている所以外は普通のおじさんだった。


「しかし…冒険者の権限というものはここまで強いものだったか…?」


「ん?いやーどうだろうな?俺にはわかんねぇや」


「そうか…」


疑問は多いがレイルザッツに答える気は無さそうだ…とアストラルは察してそれ以上の追求はしなかった。


「冒険者ってカッコいいね!ぼくも研究結果が出たら目指したいくらいだよ!」


「お?そうかそうか!冒険者はいいぞー!ロマンがある!坊主の研究ってのは何してんだ?」


「自由飛行の研究だよ!」


「神話の実現か!そりゃあロマンがあっていいな!完成したらレイルおじさんも飛ばしてくれよ!」


「いいよー!ぼくの次に飛ばしてあげるね!」


「やったぜ!約束な!」


レイルザッツは子供の扱いが上手いのか…もしくはレイルザッツ自身が子供に近いのか…町の冒険者ギルドにつく頃にはアキタカと意気投合し仲良くなっていた。

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