第二話 入り口の無い家
記憶の断片
〔記録再生確認中〕
目の前が白い霧に包まれている。
縦に設置された柔らかくもない鉄のベッドから出るように、一歩前に踏み出すと辺りがよく見えた。
「おはよう」
「おはよう御座います、主様。」
ローブを来た人物が記憶の中の私に挨拶をしてくる、顔はよく見えない。
私はプログラムされた通りに挨拶を返している。
「よし!元気そうだね、テストをしよう!君の名前は?何のために創られた?」
「型番号
「うん!うんうん凄くいい、完璧な解答だ!」
ローブの人物…オリアクスが腕を組み頷いている。
「創られた理由は『私が寂しかったから』この一言に尽きる!君には他にも色々教えてあげよう、ああ君には姉弟も居るんだ!紹介しよう、着いてきてくれ」
そう言ってオリアクスは歩き出そうとするがピタリと止まる。
「君には名前をつけないとね!番号じゃ味気ないから、そうだなぁ…」
「アストラル!君の名前はアストラルだ!この言葉はあらゆる世界において色々な意味を持つが…私は『光』『感情』『魂』の意味をこめた!」
「私は…アストラル…」
「この名に恥じない魂が君の中に宿ることを願っているよ、アストラル」
〔記録の再生を終了中…〕
〔不要なデータを圧縮しています…圧縮完了〕
〔本体の再起動を行います〕
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