第二話 入り口の無い家

記憶の断片

〔記録再生確認中〕



目の前が白い霧に包まれている。

縦に設置された柔らかくもない鉄のベッドから出るように、一歩前に踏み出すと辺りがよく見えた。


「おはよう」


「おはよう御座います、主様。」


ローブを来た人物がに挨拶をしてくる、顔はよく見えない。

私はプログラムされた通りに挨拶を返している。


「よし!元気そうだね、テストをしよう!君の名前は?何のために創られた?」


「型番号Titanタイタン05、元本は『3歳からの原子変換術式』主であるオリアクス様に創られた写本の内の1体です。創られた理由に関して記述が存在しない為解答を行えません。」


「うん!うんうん凄くいい、完璧な解答だ!」


ローブの人物…オリアクスが腕を組み頷いている。


「創られた理由は『私が寂しかったから』この一言に尽きる!君には他にも色々教えてあげよう、ああ君には姉弟も居るんだ!紹介しよう、着いてきてくれ」


そう言ってオリアクスは歩き出そうとするがピタリと止まる。


「君には名前をつけないとね!番号じゃ味気ないから、そうだなぁ…」



「アストラル!君の名前はアストラルだ!この言葉はあらゆる世界において色々な意味を持つが…私は『光』『感情』『魂』の意味をこめた!」


「私は…アストラル…」


「この名に恥じない魂が君の中に宿ることを願っているよ、アストラル」



〔記録の再生を終了中…〕


〔不要なデータを圧縮しています…圧縮完了〕


〔本体の再起動を行います〕

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