第三話 旅立ち
彼女と出会ってから、僕たちは楽しく過ごした。異世界に来てしまったなんて忘れてしまったかのように。朝は、井戸に水を汲みに行き、昼は楽しく遊んで夜は早めに寝る。そんな楽しい暮らしをずっと続けていた。そんなある日、私は思い出した。
「こんなことしている場合じゃねー!」
そう。確かにこっちに飛ばされた時の目標は食料の確保だった。しかし、やはり日本に帰らなくてはならない。
「どうしたの?朝ご飯なら井戸水組んできてからよ?」
今野なじみすぎだろ。
「朝ご飯じゃないよ。俺たち、日本に帰らなきゃいけないだろ?」
「えっ?ここ日本じゃないんすか?」
ここで出てくんな。ややこしくなる。。ってかここ日本だと思ってたのか。まあいい、無視しよう。
「そうでしたね!結婚しなきゃですから。」
あ、まだそのこと覚えてたのね。
「それもそうかもしれないが、会社の人たちとかが心配してるはずですから。」
と僕は言った。
「どうしましょうかね。でも、この子の親御さんが帰って来ないことには今は動けないような気がします。」
それもそうだ。僕たちは親が見つかるまでと約束してしまった。そこであることを思いついた。
「そうだ。女の子を連れて探しに出よう。」
「え、でも女の子は親御さんに家で待ってて。と言われたのならそうするのがいいのでは?」
それも考えた。女の子は今の人といることを楽しんでいる。それなら一人にするのはまずい。だが、僕たちも先を急がなければならない。
「私を連れ出してくれるんですか?」
悩んでいるところに女の子がそういってきた。
「いいの。だって親御さんに待っててといわれたのでしょう?」
「もうここは飽きました。新しいものが見たいのです。」
女の子がそう言ってくれるなら出かけるしかない。街に出てこの子の親の話と、あのくぐって来たトンネルのことを聞こう。
決まったら行動するのみ。持ち物も少ないので、食料と運よくあったテント。それに、電車から持ってきた懐中電灯を持って出ていくことにした。
一応、女の子の親御さんが帰って来てしまったときのためにメモ書きだけを残していった。
「私自身を探すために旅に出ます。心配しないで。頼れる人たちといます。」
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