第16話 海って1回行くと暫くは飽きるよね
僕と未来は疲れてへとへとになるまで泳ぎ、今の時刻は12時きっかり。
お昼時である。
近くにあるコンビニで適当に食事を済まそうと提案したが、どうやら未来はお弁当を作ってきたらしく、そのお弁当を2人で食べながら談笑する。
日差しが海水が滴る肌に当たり、少しヒリヒリしている。
ん?
その間のエピソードは、だって?
僕を襲ってきたサメを未来が切り刻んだり、僕を襲ってきた巨大タコを未来がたこ焼きにしたり、クラゲに刺されて溺れかけた僕を未来が助けてくれたりしただけさ!
「僕、未来がいないとダメかも......」
「誓います......」
なんか誓われた。
「1000000つとばし恋愛かな?」
会話の文章繋がってるよねこれ!?
2.3年近くサボったブランクがある作者がミスったとかじゃないよね!?
「そっ、それより今のセリフどういう意味!?私の誤解とか聞き間違いじゃないよね!?」
「あっ、いや、普通に誤解ではあるけどね。......ただ僕の生活の中にもう未来は当然のようにいるわけで、それを心地いいと思ってる僕もいるっていうか......。いや改めて言うのもちょっと恥ずかしいな」
若干照れくさくなって目線を未来から外すが、未来は僕の肩を両手でガシッと掴み、見つめ合う形にした。
「恥ずかしくなんかないよ!だって私も同じこといつも思ってるし!......余計な小虫3匹さえいなければだけど」
「うん、後半部分は置いといて未来も同じ気持ちだったのか」
「うん、だから歩くん......」
「え?未来?」
未来がいつになく色っぽい表情で僕を見つめる。
その大きな瞳は僕を真っ直ぐに見据えており、僕は彼女から目を離すことができなかった。
あれ?
結構いい雰囲気じゃないか?
告白とかされる流れじゃないのかなこれ......。
完全にラブコメの波動を感じる!
「おせっせしよ?」
「最後で台無しだよ!!!なんで!?今までいい感じにラブコメしてたじゃん!」
可愛がってたモルモットがいきなり車になって僕を跳ね飛ばしてきた感じだ。
まじPUIPUI。
「ごめん、普通のラブコメしすぎて
「そういや前、香菜の純粋なセリフ聞いて蕁麻疹出てたな......」
付き合っていない状態でこれってことは、未来は付き合いたての初々しいカップルを見たら爆発でもするんだろうか。
「歩くんと子作り歩くんと子作り歩くんと子作り歩くんと子作り歩くんと子作り歩くんと子作り歩くんと子作り歩くんと子作り歩くんと子作り......。よし!治った!」
え、その治し方何?
怖い。
帰ったら悪霊の類を払ってくれる神社でも探してみよう。
まぁでも1つだけ言えることがあるとすれば......。
「この方が僕たちらしいのかもな」
「え、歩くん今のすっごいかっこいい......。も、もう我慢できない......。いただきまーす!!!」
両手両足を合わせ、僕にダイブしようとする未来。
「ルパンダイブは女の子がやっちゃダメでしょ!!!」
これが僕の遺言なんて嫌すぎる......。
そんなことを考えつつ、未来にあれやこれやされる覚悟を決めるが、一向になにかされる気配がない。
閉じていた目をゆっくりと開けるとどでかい中華包丁の側面に顔面を打ち付けたであろう未来と、その中華包丁の持ち主、美月がいた。
「何しに来たの?妖怪胸なし女。その頭から生えてる毛、引きちぎるわよ?」
「契約違反ですよ、腐乱臭ただようゾンビ女さん。あんまり調子乗ると肉を削ぎ落としますよ」
エンカウント早々罵倒するのがデフォなんだね、君たち。
「?なぁ美月、さっき言った契約ってなんのことなんだ?」
「(あゆくんが上裸......犯したいです......)えっとですね、私たちがあゆくんとデートする際は、どうせ他の3人と争ってあゆくんとの時間がなくなってしまうと考えたわけです。」
「なるほど......」
いや、わかってるならそもそも争いをやめないか?
あと最初のセリフの間の時めちゃくちゃ悪寒がした。
「そのため、今回は1日目をメタボリック奇乳、2日目をあゆくんのお嫁さんである私、3日目をメルヘンチック(笑)馬鹿、4日目をアホ面幼児ババアの日とし、お互いに邪魔をしない、
「......」
だめだ、罵倒がすごすぎてあんまり内容が頭に入ってこなかった。
まぁ、その条件なら僕にとっても結構嬉しいかもしれない。
争いが起きないし、既成事実も作られない、いわゆる普通のデートができるのだから!
「くそっ!お前さえ居なければ今頃私と歩くんは家族8人で幸せに暮らしてたのに!!!」
「そんなにポンポン産まれてたまるか」
「そうだ......!ダブル陰毛女さえいなければ既成事実が......」
アホ毛って言ってあげてよ!!!
なんで頑なにアホ毛のこと陰毛って言うの!?
すると未来は、どこからともなく電ノコを取り出し美月に向かって構える。
「甘いですね」
そう言って指をパチンと鳴らすと音もなく一瞬のうちに香菜と七海さんが現れる。
「......歩様とのデートのため......仕方なく協力してるだけだから......勘違いしないでよ......胸クレーター......」
「鏑木くんのためだったらななみ誰でも〇しちゃうよ〜!」
「くっ......!」
流石の未来でも3対1では分が悪いと悟ったらしく、大人しく武器を下ろした。
「こうなったら仕方ないわね、じゃあ帰ろっか、歩くん♡」
「そ、そうだね」
後半の出番ほぼなかったな僕!
こうしてかなり濃い未来とのデートが終了した。
明日は美月か......。
まともなデートが出来るといいんだけ......危ねぇ!
変なフラグ立てかけた。
「明日も変なことが起きるんだろうなぁ」
これで良し!
――――――――――――
day2 『美月』
「綺麗な海ですね!」
「そうだな」
昨日も見たけどね。
そう、今僕と美月が来ているのは昨日と全く同じ海だった。
昨日と同様、なぜか人も全くおらず、僕たちの貸切状態となっていた。
マジでなんでだ!?
いい加減突っ込んでいいのか!?
まぁでもただ1つ言えることがあるとするなら......。
海って1回行くとしばらくは飽きるよな。
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