止まらない波㊵
彼ら一家は、成りすました一家との姿かたちは似せているものの、うり二つに変装しているというわけではない。しかし、声紋や虹彩、指紋や静脈などの部位の情報さえ一致していれば、それが間違いなくその相手であると認識してしまうのである。
「確かに、わたくしたち〝ネイチャー〟であることが至高であるという考え方はどうかと思います。ですが、こういったところを目の当たりにしてしまうと、やはり〝ミックス〟であることのデメリットも考えなければならないと感じます」
小紋は、夫となる以前の羽間正太郎からも、そういった内容を聞かされていた。
「なあ、小紋。俺たち〝ネイチャー〟として生きて行くには必ず限界がある。だがよ、だからと言って〝ミックス〟になれば、みんながみんなスーパーマンみてえになれるってわけじゃねえ。要は、どの能力をどう使って生きて行くってことの方が重要なんだ」
小紋は、師である正太郎との鍛錬の最中、その言葉を何度も何度も味わう羽目になった。
彼女自身が、女性の中でも比較的に小柄であり非力なことで巨大な困難に何度も
それでも今の彼女があるのは、自らの体格の小ささを悟り、自らの非力さを確実に自覚したからである。
「そうなんだよね、アリナさん。やっぱり、現実から目を背けちゃダメなんだよね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます