虹色の細胞⑯
「赤ちゃん……!?」
小紋はギョッとした。
「赤ちゃん……。全てはあたしの赤ちゃんのため……。全てはあたしの赤ちゃんのため……」
クリスティーナの偽物は、うわ言のようにその言葉を連呼した。
小紋は、その言葉に胸を引き裂かれた。
しかし、あの〝二分の一のサムライ〟と名乗るリモート式アンドロイドによって連れ去られ、あれから早くも二年以上が経過している。
「な、なんなの!? あなたは一体、クリスさんと何の関係があるの!?」
小紋は必至に問い掛けたが、
「うぐあああぐぐ……」
偽物はそれ以上を発しなかった。そればかりか、以前のようなクリスティーナの声色すら変化してきており、それまでとはまるで違う野太い声に様変わりして来ている。
「こ、これは……」
その時である。クリスティーナの偽物の身体に変化が起きた。
まるで巨木のようにそびえ立つ女がうなり声を上げ、その魚眼のように輝く一つ目からは恨みつらみのような負の感情が表現され、口角の端々が矢のように天井に吊り上がる。
息を吐いた途端、
「うぐあああっ!!」
偽物は足元に向かって拳を下ろした。するとまたもや、凄まじい地響きと共に巨木の根が粉みじんになって舞い上がる。
「う、うわああっ!!」
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