災厄の降臨⑩
まさにこれまでの小紋の行動は、彼女たちの羽間正太郎に対する思いの
「フフッ、このような小さなお身体で」
「これだからこのお方は、大勢の方の厚い信頼を得られているのですね」
そして、それは彼女たちも同様だった。
カレンバナ、シグレバナの両名は、かつてのヴェルデムンド新政府軍の特殊任務部隊の精鋭である。
だがしかし、その部隊の間に存在する関係性は、まさに軍事規約や義務以外のなにものでもなく、ただ幼少の頃に孤児として組織に拾われた恩を、
「その、お前たちの命や尊厳まで賭して返さねばならぬ」
と、根底に刷り込まれたものでしかなかった。
そんな彼女たちにとって、あの羽間正太郎の破天荒な〝意見状〟の行為は途轍もなく不可解極まりない、そして天地がひっくり返るほどの衝撃だったのだ。
「無論、身共とて、あの行為が、背骨折りさまの戦略の一つだったのかもしれないと思うております」
と、カレンバナ。
「ええ、ですが、あのお方は、あのようなことをすることによって、こんな価値観を植え付けられた身共どもに、ひとつ自分の頭で考えようとする切っ掛けを与えてくださったものと考えております」
と、シグレバナが続く。さらにシグレバナは、スヤスヤと寝息を立てたままの小紋を抱きかかえたまま、
「きっと、このお方も、あのスナップ
「そうですね。シグレバナ……」
と言ってカレンバナは、その懐から一枚の紙切れを持ち出す。「そう、まさか……、あなたがあの時に撮ったインスタント
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます