驚天動地の呪い㉑
「ご、ごめんて、デュバラさん!! 僕はそういう意味で言ったんじゃあ……」
逆に無神経な言動をしてしまったことを恥じて、取り繕う小紋。
そんなやり取りを聞いて、
「エッ、クロヒョウのおじさんって、コロシヤさんダッタノ!?」
突然、オツが驚き声を上げて話に混ざり込んでくる。
「あ、ああ……。その通りだ、オツ殿。私は、代々暗殺を手掛ける集団の出自でな……」
「そうだよ、オツ君。デュバラさんはね、この僕ですら命を狙ったことのある凄腕の殺し屋さんだったんだよ」
「ウ、ウヘエッ!! そりゃスゴイヤ!!」
オツが、どういう意味でこんなふうに大声を上げたのかは分からない。しかし、貨物車両用の人工知能でも、〝コロシヤ〟の意味は理解出来るようだった。
オツのラウンドビークルは、比較的整備が整った国道四号線を南下し、ようやく首都圏に入った。
「どうだ、小紋殿。懐かしいのではないのか。そなたの実家はこの辺りにあるのだろう?」
「うん、たしかにそうなんだけどね。僕の家は、もう元のあった場所に無いよ」
「なんと!?」
「そりゃそうだよ。だって、僕が〝シンク・バイ・ユアセルフ〟の指揮を執っていた時点で、浮遊戦艦のどさくさで壊されちゃったもの。それに、風華おねえちゃんも、その旦那さんも嫌々ながらもヒューマンチューニング手術を受ける羽目になっちゃったでしょ? 旦那さんは、防衛隊の隊長さんでもあるから、二人は自分の子供たちと一緒に官舎に移り住んじゃったし」
「な、なるほど、そうであったか……。要らぬことを口にして済まなかったな」
「いいんだって。それが事実なんだからさ。それよりも、日が暮れないうちに東京を抜けて神奈川の真ん中あたりまで辿り着きたいところだよね」
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