偽りのシステム243


 言われてエスタロッサがハッとし、

「そ、それって、もしかして……」

「え、何か問題でもあるの、エスタロッサ中尉?」

 そこでエスタロッサが青ざめながらも、

「い、いえ。私の気のせいなら良いのですが……」

「ちょ、ちょっと、中尉!? この期に及んで、言葉を選んでは駄目よ! 思いついたことは今すぐ言って! 緊急事態なんだから!!」

「そ、そうですね。ならば言います。確信はないのですが、もしかすると私たちは、あのエリケン大佐に一杯食わされたのかもしれません」

「なんですって!? それはどういう……」

「ええ、率直に言えば、この小型核を仕掛けたエリケン大佐とて、私たちが共闘する可能性も計算済みだったのかもしれません。さすがに、こんな次元を超えられる扉があるなどとは思ってもみなかったでしょうが、それでも私たちの最新鋭の機体と、統率システムがあれば、この難関を乗り切ってしまえる計算は成り立つでしょう……」

 そこでエナは、彼女の言葉を取り返すように、

「要するに、つまりは、二十基ある小型核のうちの十九基を取り外して圏外に放り投げられたとしても、最後の一基だけは何らかの形で簡単に取り外せないようにしてしまえば、それだけで任務遂行っていうわけね!」

「そういうことです。それならば、こちら側が意気揚々と十九基を容易に取り外せたとしても、それが逆に仇となって逃げ場を失うことになる。これは、我々第十八特殊任務大隊……いいえ、十八番の大隊の総指揮官であるエリケン大佐が、その昔に敵地を壊滅に追いやった作戦内容の構造と似ています」

「や、やるわね、あのヒゲオヤジ。第十八特殊任務大隊っていうからには、ただの変態集団ではないことぐらいはわかってたけど……って感心してる場合じゃないわ。もし、その中尉の言っている通りの作戦内容だったら、あたしたちは……いいえ、あたしは実体がないから平気なんだけど……中尉を含めたあなたたち部隊とアイシャさんの命がみんな消えて行っちゃう」



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