偽りのシステム177
エナは顔を真っ赤にしてアイシャを見つめた。
アルサンダール家の人々は、代々暗殺組織の首領の血筋を継ぐものの家系である。であるからにして、普通に考えるなら、かの家系の人々はどんなに冷徹であるかのようなイメージを抱いてしまうものである。
が、こうして話を聞くからには、どうしてこうしてかなり直情的で熱いものを秘めた行動的な遺伝子が、彼女たちに垣間見えてくる。
「そういうことね。ふうん。だからあなたのお父さんのゲネック氏は、ショウタロウ・ハザマを唯一無二の愛弟子に選んだのよ。自分たちの家系の気質と本質が似ているんだもん。そうよ、あなたとショウタロウ・ハザマを婚姻関係にさせてしまえば、その遺伝子を引き継がせるのも夢ではなかったのだからね」
言われてアイシャも当然のようにうなづいた。彼女も納得づくの話であったようだ。
とは言え、
「はい、エナさんの仰る通りです。ですが、わたくしのこの感情は、そんな打算的なものではありません!!」
いきなりムキになるアイシャに、
「はいはい。そんことは声を荒らげなくても、十分に解かってるわ!」
エナは、肩をゆすって両腕を広げたままため息をつく。
「でさあ、アイシャさん。話は変わるけど、あなた知ってる?」
「何をですか、エナさん?」
「今から、ここに向かって来る人たちのことよ」
「向かって来る人たち?」
「ええ、そうよ。あなたの第二の故郷である第十五寄留の跡地を跡形も無く消し去ろうとして来る人たちのことよ」
「え、ええ……それは何となく。一応、今の今までエナさんと正太郎様のやり取りは見ていたつもりですから」
「あなた、その相手と戦える? 殺し合うのよ、あなた。その人たちと。出来る?」
「わ、わたくしがですか……?」
「そうよ。あなたがショウタロウ・ハザマを守るのよ。あなたのその力技の身体で」
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