偽りのシステム166


 この時、唐突に正太郎の胸のペンダントトップが金色に光った。アイシャの閉じ込められた意思が、ケーブルの先のカプセルに吸い込まれて行くようだった。

「な、なんだ!? いきなりどうしたんだ、これは!?」

 正太郎は、その光輝く黄金の筋に見とれて口をぽかんと開いた。エナも呆気にとられて見とれていると、

「見て、ショウタロウ・ハザマ!! カプセルの中が!!」

「光が、あのデカ物の中に吸い込まれて……」

 言った瞬間、辺りに閃光が走り、目も開けていられないぐらいの状況になった。

「うぐあっ……!!」

「ああっ……!!」

 手で目を覆っていても、強引に光が体中を通り抜けて行くのが分かった。何か凄まじいものに身が溶かされてゆくのを感じた。

 そして数十秒が経ち、激しい閃光が収まったのを確認するや、

「これ、あたしたちが普通の人間の状態だったら、ただじゃ済まなかったかもしれないわね」

 エナは、ゆらゆら体中の力が抜けてしまったかのようにその場にへたり込む。

 正太郎も、その言葉に半ば納得しながら、

「ていうことは、こりゃ、もしかしてあれか? この光ってのは核なんちゃらの……」

「そうよ、核融合の熱反応……。まさか、こんなむき出しになったところで、こんな目に遭うなんてどういうことかしら……」

「しかし、何に反応して……」

 言って正太郎は、ホログラムの自分の身体をまさぐり始めると、

「あれ、ねえ! アイシャの入ったペンダントがねえぞ!!」

「な、なんですって!? じゃあ、それじゃあ!」

 言った傍から、再びケーブルの先のカプセルが光り出し、

「ま、また!?」

「また、お前の言う核融合とやらが始まっちまうのか!?」

 二人は危険を感じて、この場を立ち去ろうとするが、それよりも先にカプセルの中の反応が一気に飛び出し、その中に存在する融合種ハイブリッダーの人影を露わに映し出した。

「な、なんだありゃあ!?」

「あ、あれは……!?」




 

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